「知識重視型」から「経験重視型」へと舵を切り、開始された“ゆとり教育”。現在、廃止の方向へ進んでいるものの、その弊害によって競争や変化を好む子どもが急激に減少しているといわれる。そんななか、軽井沢で日本初の全寮制インターナショナルスクールの設立を目指し日々奔走しているのが今回のゲスト、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢設立準備財団代表理事の小林りん氏。日本の高校を1年で退学し、単身バンクーバーのインターナショナルスクールへ留学した経歴を持つ、リスクや変化を楽しむ生き方を地でいく人物だ。東京大学を卒業後、社会人になってからもう一度渡米。スタンフォードの大学院で教育学の修士を取得している。
今回は、そんな挑戦を続ける小林氏と、スタンフォード・ビジネススクールへ留学し、アメリカで子育てをしてきたネットイヤーグループ石黒不二代社長の2人に、日本を飛び出して初めて分かった、日本人が気づかない日本教育の問題点を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子、撮影/宇佐見利明)
高校1年から受験戦争に疑問を感じる
1年で中退し、単身カナダへ留学
――日本の高校を1年で中退して、カナダ・バンクーバーのインターナショナルスクールへ留学した小林さん。中退までして留学したきっかけは何だったのですか。
小林 私が通っていた日本の高校はわりと自由な校風で、とても気に入っていました。でも1年生の夏休み前の面談のときに、先生から「あなたは化学の成績をもっと伸ばさないと、東京大学は難しい」と言われたんです。受験のために学校に来ているわけではなし、しかも入学したばかりの時期にそんなこと言われたので、理解できなくて…。それからは悶々と毎日を過ごしていました。
ところがそんなときに親が、「そんな杓子定規な考え方に捉われないで、海外へ行ったほうがいいんじゃないの」と言ってくれて。それで、留学を決めました。父は起業家精神のある果敢な生き様の人で海外志向が強く、母は世のため人のために働く人。そんな2人ですから、とても応援してくれました。
とはいえ、当時は2人とも地方公務員でしたから、お金は出してくれません。奨学金をとってきたらいいよというので探していたら、たまたま学校に、「全額奨学金、生活費も2年間無償」と書いてある留学生募集の紙が貼ってあったんです。親に話したら、「タダ?今より安くなっちゃうよ!どうぞ、どうぞ」と、二つ返事で了解してくれましたね(笑)。