もっとも重視すべきは
顧客自身も説明できない潜在的欲求

 さて、デザイアビリティの大きさを計るため、我々は「フリクション」というものに着目し、そのフリクションをベースにして、事業コンセプトのアイディエーションを行います。では、このフリクションとは一体どういうものなのでしょうか。

 フリクションという言葉は、日本語に直訳すると「摩擦」となりますが、「あるべき姿と実態とのギャップ」と捉えていただいたほうが分かりやすいと思います。 BCGDVでは、フリクションが次の3つから構成されていると定義しています。

 1つ目は、市場構造の変化。規制変更や人口動態の変化です。

 たとえば、スマホシフトが進むことや、インバウンド需要を喚起するための規制緩和などがそれにあたります。規制緩和が進むと、現状とのギャップが生まれます。民泊の台頭などは、市場構造の変化のひとつ、といえますよね。

 2つ目は、カスタマーが言葉で説明できる、顕在化したペインポイント(カスタマーの不満点や困っている点)です。

 一般的な消費者や、B2Bであればサービス受益者の方々がインタビューの中で、「こういうプロダクトがあれば使いたい」、もしくは、「今使っているサービスが使いづらい」、と明示的に挙げられるニーズや不満点を指します。このフリクションに関しては、特に例をあげなくても、皆さんも日常的に感じておられると思います。

 そして3つ目は、カスタマー自身も言葉で説明できない、潜在的なニーズや欲求のことです。我々がもっとも重要視するフリクションです。

 その理由は、このニーズを充足させるような事業を生み出せれば、既存市場をディスラプト(破壊)できるという可能性を秘めているからです。

 マクロ動向や顕在化しているペインポイントをベースに事業を考えていくと、既存サービスの単なる改良に留まってしまいがちです。これらは誰もが気づくことなので、競合環境が激しくなります。さらに、他社との差別化のためにユーザーのことを考えていない、押し付けがましいだけの機能が追加され、結果、見向きもされなくなるというのはよくある話です。

 ですが、消費者自身が現状に満足しており、新しい製品やサービスが出て初めて、これまでは不便だったのだ、と気づく潜在的なニーズは、消費者自身も気づいていないため、インタビューを通して聞き出すことはできません。

 では、この潜在的なニーズを掘り起こすには一体どうしたらよいのでしょうか?
 BCGDVでは、この潜在的なニーズを、製品やサービスの最終的な受益者(一般消費者やB2Bの場合はステークホルダー)とのインタビューによって浮き彫りにしていくのですが、ここで活用しているのが、エスノグラフィックリサーチの手法です。