災害は油断の隙間に忍び込む!
4つのポイントから読み解く「街の安全」
3.11以降、私たちは当たり前と考えていた「普段」を改めて見つめ直すようになった。「わが街の安心・安全」は、なかでも最大級の関心事だ。
災害は突然やって来るが、被害は油断の隙間に忍び込む。住む街、通う街の「強み」や「弱み」を知っていれば、いざというときの心構えは大きく変わってくる。地震、犯罪、火事、交通事故。これら現代社会の4大災難を中心に、この連載では、東京23区について、それぞれの「安心・安全の素顔」を解き明かしていくことにする。
たとえば地震の被害予測は、いくつかの仮定の上に立った1つのシミュレーション結果に過ぎない。しかし、その背景の中に、あなたやあなたの家族を守る重要なカギが潜んでいるはずだ。
今、安心・安全と言うと、福島原発事故に端を発する「放射能汚染」も大きなテーマとなる。しかしこの連載では、放射能汚染に触れることはあえて差し控えたい。放射性物質の拡散が気象条件に大きく左右されること、評価の線引きが難しいこと、データの蓄積が不十分であることなどが、その理由だ。
東京都健康安全研究センターのホームページに、都内各地区の放射線量が公表されているので、気になる方は併せて参照していただきたい。
なお、本連載に記す地震の被害予測は、東京湾北部の深さ30~50kmを震源とするマグニチュード7.3の首都直下地震が、冬の夕方、風速6m/秒の条件下で発生したとの想定に基づく、東京都のシミュレーション値である。また、犯罪、火災、交通事故の発生状況に関するデータは、特に断りがない限り、過去3ヵ年の平均値を用いている。
地盤が低く3分の2が満潮面以下
埋立地の上に築かれた街・江東区
連載第1回は、ベイエリアの中心・江東区を取り上げよう。江東区の面積は39.9km2と、23区の中で6番目に大きい。ところが、1948年(昭和23年)の面積は22.5km2、1882年(明治15年)の面積は11.4km2に過ぎなかった。