また、アマゾンはドライブスルー型の食品スーパーの開発を行っている。「アマゾン・フレッシュ・ピックアップ」と呼ばれるこの仕組みでは、家や外出先などで買いたいものを注文すれば、リアル店舗に着く頃には商品の袋詰めが終了している。そして、消費者が駐車場に車を停めると、店員が袋詰めしておいた商品を車に届けてくれる。ホールフーズの店舗網を使えば、こうしたアマゾンの新しい取り組みは一気に全米でのスタンダードとなり、他の先進国の流通システムに大きな影響を与えることとなる。

食費の占める比率が高い
日本への切り込みを狙う

 本質的に、アマゾンは「消費者の支出に占める存在感」を引き上げたいと考えている。換言すれば、消費者の財布のシェアを上げたいのである。家賃や光熱費なども含めて、日本の消費者の年間消費支出のうち食費の占める比率(外食除く)は15%前後である。ちなみに米国では食費の比率は9%前後であり、日本における食品分野への切り込みはアマゾンにとって米国以上に重要なことになる可能性がある。

 アマゾンが、商品一般において「リアル店舗と共存するようになった」というメディアの記事も見られる。しかし、筆者はそうは思わない。むしろ、食品という商品特性こそが、アマゾンとリアル店舗を繋げる唯一無二のカテゴリーだと考える。それは、前述したような食品という商品の物理的・質的劣化スピードの速さに加え、消費者の購買頻度の高さにある。

 日本でも完全な100%買収になるかはさておき、食品スーパーに代表される食品小売りとアマゾンとの共存共栄が模索されるであろう。その際には、昨今話題となっている「宅配問題」の解決という“副産物”をも生み出す可能性がある。現在の日本の宅配は、商品を注文することはネットなどで簡単にできるものの、数時間もの間、自宅で商品の到着を待たなくてはならないという非効率性を内包している。