挑戦を見守り、小さな成功を褒める
欧米の親は、概して子どもの行動に寛容です。服をよごしても、靴を濡らしても、部屋をちらかしても、それが「自分でやってみたい」、「自分で試してみたい」という自発的な行動であれば「ダメ!」と制限せずに見守ります。
自由に行動させるだけでなく、小さな成功を見つけて褒めることも忘れません。
ボタンが自分でかけられたら「すごいね! 自分でできたね!」と成果をたたえる賞賛を与えて「成功体験を積ませる」子育てを実践しています。
個人主義が浸透している欧米社会では、幼い子どもでも「一人の人格者」として扱います。子どもの個性と意思を尊重し、一人前に扱い、「自立心」を育てることが子育ての最優先項目なのです。
もちろんほったらかしなのではなく、一人の人格者としてマナー、エチケットなど、社会的責任を伴うことも厳しく指導します。
子どもが公共の場所で騒いだりすれば、親は即座に子どもをその場から連れ出し、毅然とした態度で行動を非難します。人前で叱らないのは子どものプライドをつぶさないための配慮です。
一人前の人間として、自分の行動に責任を持つこと、自分の行動を自分で抑制することを子どもに教える。これを欧米では「discipline*」と言います(*しつけと訳されるが、「弟子・門人(disciple)の教育」が語源)。
世界標準の子育てにおいては、自信を育てることがすべての始まりです。次回は、「考える力」を伸ばす教育について見ていきましょう。
(この原稿は書籍『世界標準の子育て』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)