飲食店に役立つサービスを
リーズナブルな価格で

 ヒトサラは、ほかのITサービスとの連携にも力を入れています。ネット予約に関しては、ヒトサラ単体だとリクエスト予約しかできず、後日電話での予約の確認をしなければなりませんが、即時予約のニーズが高まっているため、私たちが運営するトレタなどの予約台帳サービスとの連携も進めています。

 成内さんによれば、サービス連携を進めるポイントは「いかに飲食店の役に立てるか」だそうです。

成内 「USENは有線放送を売っていた時代から『飲食店の役に立つサービスは何か』を第一に考えてきました。そのスタンスはヒトサラも同じです。自社商材であるヒトサラを中心として、社内外の商材を連携させながら、その時代にいちばんいいサービスをお客様(飲食店)に提供したいと常に思っています」

 この言葉から、いかにヒトサラというグルメサイトが飲食店に寄り添っているかがわかります。

 お店とユーザーの双方をハッピーにするこだわりが詰まっていながら、掲載料金は良心的です。プランは3段階あり、下から1万円、2万円、3万円とわかりやすい価格設定になっています。

 このリーズナブルな価格設定にも、「サイトへの掲載コストを適正な金額に抑えることで、本来経費をかけるべき食材や人件費にしっかりとお金を使ってもらって、いいお店づくりをしてほしい」(成内さん)というヒトサラの哲学が込められています。

 ヒトサラの中でより露出を高めたいお店さまから、高額でも良いのでもっと目立つプランを作ってほしいという要望もあるそうです。しかし、高い掲載料をもらえば、その分露出を過度に増やさなければなりません。「高額な掲載料を支払う=露出が多くなる」ことはお店にとってはメリットかもしれませんが、ユーザーとしては「結局、高い金を払った店をフォーカスするんだ……」と冷めた気分になり、サイトへの信頼感も失われてしまいます。

 そのことがわかっているため、成内さんも「過度な高額プランをやるつもりはない」と断言します。お店とユーザーの利害が対立せず、双方のメリットが両立するちょうどいいバランスを選ぶその感覚は、さすがだと思います。

 従来のグルメサイトとは一線を画すこうしたさまざまなこだわりによって、ヒトサラは後発ながら急成長を続けており、2016年12月現在でユニークユーザー数(UU)は1800万人を突破。その内訳は「6割が女性」「約8割が30歳以上」「外食にかける予算が高い傾向にある」など、食に関心が高いアッパーミドルなユーザーが集まるグルメサイトに育っています。「よりよいお客様に出会いたい」という飲食店にとって、理想的なユーザー構成になりつつあると言っても過言ではないでしょう。

 掲載店舗数は全国で1万5000店舗(2017年4月現在)と、質にこだわりながらも、ボリュームも充実してきています。今回はそのうちの2店舗にお話を聞いてきました。

後篇に続く)