累積線量で100mSv以上を確定的影響(ガンが0.5%増加)、100mSv以下の低線量被曝の影響は解明されていないが、ゼロから確率的に増加するという仮説を確率的影響と定義しているのが「ICRP勧告」(最新は2007年版)である。

 したがって、人生を85年とすれば、生まれたばかりの子どもについては年間1.18mSvとなるから、「リスク管理機関」に言われずともわかる。

 これは、ICRPが一般公衆の年間被曝限度を1mSvとしている放射線防護の考え方に近く、むしろ「ICRP勧告」を追認したともいえよう。この数値に基づいて食品ごとに振り分け、放射性物質の規制値を決めていくのが厚生労働省の仕事になる。内部被曝と外部被曝の合計だから、食品に関しては相当厳しい数値になるだろう。

 実際問題、現状の東北・関東地方の放射線濃度が続けば、福島県だけでなく、首都圏を含む東日本全域でこの厳しい数値は守れないだろう。

 現在、文部科学省は、「ICRP勧告」に基づいて、重大事故緊急時の一般公衆被曝量を20-100mSv、事故収束時を1-20mSvとしている。そして、緊急時の下限、収束時の上限である20mSv/yを強制避難の基準としている。

 したがって、収束段階にいたっていない現在、1mSvは不可能であることはわかる。しかし、東京電力が工程表を作成しているように、厚生労働省や文部科学省も、1mSvへいつまでに、どのように引き下げていくのか国民に示す必要があるだろう。

 食品安全委員会の評価書案発表と委員長メッセージは、工程表作成を促す意味でも非常に重要で、大きな指針となるものである。食品安全委員会も緊急時には上限を引き上げている。現行の暫定規制値がまさにそうだ。

 福島県だけでなく、首都圏でも同様だ。千葉県東葛地区の放射線量は他の首都圏各地より一桁高いが、同じように、累積1mSvへ引き下げるために何をいつまでにどうすべきかを公表する義務がある。義務があるのは自治体である。