日本の介護の強みは
「認知症ケア」と「リハビリ」

――では、日本の介護事業者が中国で成功するのはどうしたらよいのでしょうか。

 繰り返しますが、現在は日本の介護の凄さや強みがまったく生かせていない状況です。日本の介護会社が中国にはない強みを自覚し、中国で社会保障制度が整ってくれば、状況も変わると思います。

 日本の介護の強みとは、ズバリ「認知症ケア」と「リハビリ」です。

 認知症ケアは、中国は日本よりも30年以上も遅れているイメージです。中国では認知症は完全に病人扱いであり、認知症の症状を薬漬けにして抑えているのが実情です。日本のように、認知症高齢者が自宅や介護施設で介護を受けながらも、ほぼ普段通りの生活を送るというのは、考えられないことなのです。

 日本の介護施設を見学した中国人が認知症高齢者の様子を見たり、介護スタッフの話を聞くと、まさに「目から鱗が落ちる」思いをするようです。一様にとても驚き、感動します。

 日本で生まれ育った中国人男性が中国の介護施設で施設長となり、日本式の認知症ケアを広めるために、中国人の介護スタッフに指導しているという話を聞いたことがあります。当初は「そんなことはできない」と相手にしていなかった中国人介護スタッフがだんだんと認知症ケアの効果や素晴らしさを実感し、現在ではとても協力的になって率先してやっているそうです。