スーパーによる“買い叩き”が
まずい豆腐量産に拍車をかけた

 豆腐作りにはかなり高度な技術が要求されることから、ライン化された大型工場ではクオリティに限界がある。

「豆腐というのは、同じ機械、同じ大豆を使っていても、作る人によって味や固さに差が出ます。それらのばらつきを避けるため、例えば凝固剤を強引に添加したり、木綿豆腐といいながら絹ごしの表面に布目をつけていたり。一口目のインパクトを求めるあまり食塩を入れすぎているものもあります。一丁まるまる食べきれないような豆腐は、いい豆腐とはいえません」(青山氏)

 こういった鋭い観察眼やこだわりを持つ職人たちを廃業に追い込んだ大手メーカーのライン化だが、その動きに拍車をかけたのがスーパーによる豆腐の買い叩きだ。

 1960年代半ば、それまで行商や直売所でのみ売られていた豆腐が、スーパーでも販売されるようになった。1970年代半ば以降、卸売業者が増え、物流のネットワークが構築されていくと、日本全国からスーパーに豆腐が集まるようになり、その結果、スーパーが必要以上に力を持ちすぎてしまったという。

「スーパーは“粗利の高い豆腐“しか仕入れなくなりました。そうなると、私たちは言い値で納入するしかありません。1丁100円の豆腐の場合、以前までスーパーの粗利は15~18円程度でしたが、今では50~60円。私たちの手取りは30円以下です。大手メーカーも数量でカバーしようとして、どんどん生産しては安売りしてしまう悪循環に陥っています」(青山氏)

 今年3月、農林水産省は、ようやくスーパーと製造業者間の取引を適正化するためのガイドラインを発表したが、依然として両者の力関係は変わっていないのが実情である。