「とはいえ被害に遭ったこともAVに出演していたことも、私の中ではもう整理がついてるんです。一方で被害に遭って、今まさにどうしていいかわからなかったり、なぜレイプ被害者がわざわざAV業界に入ったかがわからない人もいると思います。そういう人にこそ私の本を読んでもらいたくて。また『薄着で暗い中歩いていたから、襲われたのだろう』のように、被害者に落ち度があるような物言いをする人もいますが、地味な服装の15歳が、真っ昼間に被害に遭ったことを知れば、被害者に落ち度がないこともわかると思います」
厳罰化が性犯罪被害者を減らすカギに
性犯罪被害者を減らすためには何が必要だと思うか。そう聞くと、大塚さんは「より厳しい罰を加害者に与えることではないか」と答えた。加害者を罰したところで、被害者の傷は軽くはならない。しかし性犯罪はとても重い罪だという認識を共有することが、加害の抑止に一役買うと信じているからだ。
「少し前に医師や学生による集団レイプ事件がありましたが、まさに集団心理が働いてしまったのかなと思うんですよね。罪を重くすれば集団心理が働くどころか、止める人も出てくるのではないかと思います」
「それにしてもプラス2年って、なんの2年なんでしょうね? その根拠や内訳を知りたいです。そしてこの国の司法には、加害者の反省を考慮する『情状酌量』はあるのに、被害者の心を救済する目線はないのでしょうか。110年ぶりに改正されてもたったの2年増えただけなら、それ以上増やすには一体何百年かかるんでしょうね? ……刑法改正のニュースを見た時、納得がいかなくて1人でヤケ酒しちゃいましたよ」
今回の刑法改正には、施行3年後に規定を見直すという付則がある。大塚さんのように、納得がいかないという声がどれだけ反映されるのかは、この3年にかかっている。

(取材・執筆:玖保樹鈴)