日本が「老大国」欧州にも勝てないのは
リーダーシップの問題

 筆者には、しかし、この2つの見方が併存すること自体があまり理解できない。なぜなら、株価がすべてを物語っていると考えるからだ。何よりも、付加価値を生み、経済の効率化を促すのは民間企業の役割であるはずだ。そして、そうした企業の価値は日々株価という形で市場にあまねく評価されるのである。株価が低いということは、すなわち企業の価値が劣化しつつあるという何よりの証左ではないのか。

 日経平均はこの15年でほぼ半値になってしまったが、この間に時価総額が2倍以上になった企業も50社を数えるという事実を私たちはもっと率直に直視すべきでないだろうか。

 ところで、仮に株価の低落が企業の劣化を意味するとしたところで、何一つ問題は解決したわけではない。米国や欧州と比べて、なぜわが国の企業がこの15年の間に劣化が進んだのか、その原因を探る必要がある。

 米国の企業と比べた場合、誰しも世界から優秀な人材をかき集める米国の大学の強靭な競争力や、ベンチャー企業、ベンチャー精神のたくましさ等を直ちに連想して、米国の企業には勝てないと決め込む向きが多いように思われる。

 しかし、老大国である欧州の企業にも勝てないのはなぜだろうか。

 そう考えてみると、経営者、すなわちリーダーシップの問題が大きいことに気づかされる。

 企業は人である。そして、今日の企業の多くが大規模な組織を構えている以上は、前線の兵士の優劣ではなく、リーダー、すなわち経営者の資質が何よりも重要となる。すなわち、企業は人であり、企業は経営者なのだ。

 私見では、欧州はコーポレートガバナンスを重視し、企業経営陣の多様性を推進することに熱心である。その象徴が女性の登用ではないか。女性役員の割当制(クオーター制)はノルウェーを始めとして、スペイン、フランス、ベルギー、オランダ等ではすでに法定され(30~40%の登用義務)、EUもEU全域を対象にした法案の検討に入ったようだ。

 米国、ドイツ、フランス、英国では、女性役員比率が2010年ですでに10%を上回っているが、わが国では主要500社の女性役員比率はわずか0.98%でしかないという(8月18日日経夕刊)。外国人の役員比率はおそらくもっと低いだろう。