ところで、このような、いわば、けた外れの政府・日銀の支援の結果、わが国の経済や企業はどうなったのか。
実質GDPの伸びは3極の中では最も低く、加えて企業の市場価値を象徴する株価は約半分の水準まで落ち込んでしまったのである。
政府・日銀が悪いのか
それとも企業が悪いのか
このような「惨状」に対する評価は大まかに言って2つに分かれる。
一つは、政府・日銀が財政・金融政策を小出しに、しかもタイミングを誤って実施してきたため、日本経済はデフレ・円高の悪循環に落ち込んでしまったとする見方である。
経済学者には、あまり賛同者は見当たらないが、財界や政界のいわゆる主流派(現状維持派、あるいは既得権者)には、こうした見方をする向きが結構多いように見受けられる。もっとも、激しく変転する今日の金融市場を前にしては、たとえ神様であっても、タイミングよく財政・金融政策を発動することは至難の技(わざ)であろう。それに、これだけ突出した財政赤字の累積やほぼ15年も続いているゼロ金利政策を前にして、一体誰が小出しと思えようか。
もう一つは、政府・日銀の行動は100点満点とは言えないものの、60点はクリアしてきた。すなわち、それなりの時間稼ぎの効果はあったものの、その間にわが国の企業が為すべき構造改革を怠ってきたとする見方である。
経済学者や構造改革を強く志向する人に比較的賛同者が多いように見受けられる。
平たく言えば、失われた15年は政府・日銀が悪いのか、それとも企業が悪いのか、という争いであろう。