「ビジネス書の魅力は、定番書にもある」
面白さの源泉は、社会の動きとダイレクトにつながっていること。

――ビジネス書の魅力、「ここが面白いんだよ」っていうのは、どういうところにありますか?

安齋 社会の動きと連動している、つまり世の中の動きがダイレクトに伝わる、というのはすごく面白いですね。

――社会の動きを実際の売り場にどんどん反映していく?

安齋 そうですね、やっぱり何か動きがあると関係する問い合わせが多くなって、じゃあそれを仕入れて棚をつくろう、ということになりますね。

――では、就職された時の見立て通り、ビジネス書は忙しいと?

安齋 はい(笑)。

――どんどん勉強しないといけないんですね。

安齋 そのへんのブラッシュアップは日々がんばらないと、と思っています。そこも終わりがありませんから。

――そうやって社会の動きを追いかけていくのもあると思いますが、逆に安齋さんから提案したもので、印象に残っている本やフェア展開はありますか?

安齋 1冊を猛烈にプッシュ、というのはあまりやらないんですけど、新宿店時代にやって面白かったのは、いろんな方が薦めている本を、コメントを付けて並べて置いたことですね。

――その展開、僕も見たことがあります。あれはどうやってコメントを集めたんでしょうか?

本文とは関係ないが、取材した7月下旬にMARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店で行われていたフェア展開。「コミュニティ」という切り口で、さまざまなジャンルの本が隣り合って並べられていた。拡大画像はこちら

安齋 雑誌でやっている本の特集などをこまめにチェックして、そこで書かれていることをPOPに書いて貼って。

 よかったのは、改めて定番書をプッシュできたこと。定番書の中でも、たとえば『人を動かす』なら面出しして置いておけても、「売り上げ的に少し地味だけど、すごくいい定番書」というのは、面出しで置き続けるのは難しいんですよね。ものすごく売れるわけではないので。そういう「ちょっと地味だけどいい本なんです」って思っているものを推せたのはすごくよかったですね。

 あと、人文書など、他のジャンルだけれど働く人に薦めたい本を置いてみました。それもとても反応がよかったです。

――そのフェア展開の結果、すごく売れたものってありますか?

安齋 いくら補充してもすぐに売れていってしまう、というのはいくつもありました。たとえば『仕事は楽しいかね?』(きこ書房)なんかは、もともと定番なんですけど、改めて推すとやっぱりすごく売れました。いまは渋谷店でも「定番書」として2箇所で置いていますけど、やっぱりすごく売れるんですよね。