たった1つの投稿で“地雷”を踏むことも
さて、ちょうどそこに新規参加者からのメッセージが投げ込まれました。
FROM ミカ
こんにちはミカです。いつも皆さんの書き込み楽しく読ませてもらってます。
子育てって、ほんと大変ですよね。私も6カ月のベビーがいます!
今日は皆さんにとっておきの情報をお持ちしました。
□□でおなじみの○○社が、なんと30名様にサンプルセットがあたるプレゼントキャンペーンをやっているみたい。
私は前から気になっていたのでこの機会に応募してみまーす。じゃあね♪
これは、もちろん宣伝です。おそらくこの会社は何かしらの「口コミサービス」を利用したと思われます。
このようなメッセージを読んだとき、参加者がどのような気持ちになるか想像してみてください。商品や企業に対して、感謝の気持ちとはまったく逆の効果が起こります。心と心のつながりを無視して、お金を使って土足で踏み込んで来たイメージを持ちます。ブランドは決定的なダメージを負ってしまいます。
企業がソーシャルメディアにおいて、消費者に受け入れられようとすれば、「心あたたまる関係」を支援するような態度が求められます。逆に、それを無視するような態度をとれば、顧客のネットワークを敵に回すことになります。
「心あたたまる関係」が築けても、
コストに見合うリターンがなければ企業は長く続けられない
しかし、企業はステークホルダーと貨幣経済においてコミットしています。顧客との関係がどんなにあたたかいものであっても、お金に換算できないかぎりそれを受け入れることはできません。
ひとつひとつの関係を特別に唯一なものとして扱うことが解決法だと知っても、それにかかる費用が膨大であるならば、実行することは難しい。また、深く紡がれた関係がどんなに揺るぎないものになるとしても、それが規模としてスケールしないことには、リターンはねらえません。
つまり、投資対効果がバランスしないのであれば、その施策を長期間続けることができなくなってしまうのです。
この問題を一言でまとめるとするならば、「ネットワークをいかにマネタイズ(収益化)するか?」という問いになります。つまり、「心あたたまる関係」と「お金儲け」を両立させようとする挑戦です。
果たして企業コミュニティは、人々が集まり活性し、価値を生み出す場所になりうるのでしょうか? 次回、企業コミュニティの場を活性させる方法について、スポットライトを当ててみたいと思います。
【編集部からのお知らせ】
武田隆著『ソーシャルメディア進化論』の第3章の一部を
試し読みできるようになりました!
第3章を試し読みする(ここをクリックするとPDFが開きます)
◆内容紹介
当コラムの筆者、武田隆氏(エイベック研究所 代表取締役)の新刊『ソーシャルメディア進化論』は発売以来ご高評をいただいております。
本書は、花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者である武田隆氏が、12年の歳月をかけて確立させた日本発・世界初のマーケティング手法を初公開した話題作です。
「ソーシャルメディア」とは何なのか?」
「ソーシャルメディアで本当に消費者との関係は築けるのか?」
「その関係を収益化することはできるのか?」
――これらの疑問を解決し、ソーシャルメディアの現在と未来の姿を描き出した本書に、ぜひご注目ください。
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序 章 冒険に旅立つ前に
第1章 見える人と見えない人
第2章 インターネット・クラシックへの旅
第3章 ソーシャルメディアの地図
第4章 企業コミュニティへの招待
第5章 つながることが価値になる・前編
第6章 つながることが価値になる・後編
終 章 希望ある世界