住宅に「資産価値」などなかった
日本はこれまで毎年、おおよそ19兆円程度の住宅投資を続けてきた。ところが、住宅資産額は常に250兆円程度と一向に積み上がっていない。こんな事態になっているのは先進国で日本だけである。
日本の住宅は新築を買った時に最も高く、中古住宅になったとたんにその価値が15~20パーセントも低下。およそ10年で半値となり、25年程度でその価値がほぼゼロになるというのがこれまでの定説。多額の住宅ローンを組んで新築のマイホームを買っても、住んだ瞬間から資産価値とローン残高の目減り競争が始まる。住宅は資産ではなく、あたかも耐久消費財のような扱いをされ、いくら投資をしてもそれが価値に反映されることはなかった。
日本経済不況期には必ずと言っていいほど、経済波及効果が高いとされる住宅建設促進策が打ち出され、価値ゼロ住宅を量産してきた。住宅投資の回復による経済の復興と環境とが、まったく両立してこなかったのが住宅業界の姿だ。
今後は「ストック住宅重視」の政策がうまく機能したとしても「価値を維持できる住宅」と相変わらず「価値が落ち続ける住宅」とに二極分化していくのが今後しばらくの、住宅市場である。さてこのような状況のなか、私たちはどうやってマイホームを選べばよいのだろうか?