「省エネ性能」はランニングコストのみならず、資産価値にも影響する
例えば「省エネ性能」。建物の省エネルギーに関する行政は今後ますます厳格化される方向で、2020年には「次世代省エネ基準」を義務化する方向だ。もっともこのような動きは世界的な動きでもあり、日本の住宅の省エネ性能行政はまだかなり立ち遅れている。
「次世代省エネ基準」ときくと、何か先進的な、時代を先取りしたかのような言葉の響きがあるが、実は12年前に制定された規準である。この規準を制定した1999年当時は、他先進国と同じレベルの省エネ基準だったが、その後他国は基準をどんどん厳しくし、今となっては時代遅れ。しかもほとんどの先進国が省エネ基準を義務化しているにもかかわらず、前述したとおり我が国ではいまだ省エネ基準に義務はない。販売員が「ウチの建物は省エネ基準を達成しています」というとき、それは「高い基準を満たしている」という意味ではなく「義務でもない基準を守っていますよ」と言っているに過ぎない。
これからは、「次世代省エネ基準」から一歩進み、住宅エコポイントの条件であった「トップランナー基準」を目安にしたいところ。「トップランナー基準」すら、比較的近い未来に「標準的な基準」となるだろう。
このような政策が打ち出される際には、省エネ性の高い住宅について税制優遇や融資期間や金利で優遇することによって誘導されることになるのが常だ。省エネ性能のある住宅とそうでない住宅とでは、毎月の光熱費というランニングコストのみならず、住宅そのものの資産価値(市場価値)にまで影響が及ぶことは「すでに起こった未来」である。
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