ここで、緑茶の歴史を少し振り返ろう。

 缶入りの緑茶を伊藤園が初めてこの世に生み出したのが、1985年。ペットボトルの緑茶はその後、1990年に誕生した。

 当時は、緑茶は“無料で飲むもの”であって、“買って飲むもの”ではないという意識が根強かった。それでも、時代の移ろいとともに、家で淹れて飲む緑茶から、外で買って飲む緑茶も徐々に受け入れられていった。

 当時の緑茶は健康的なイメージで飲用されるシーンが多かった。言い方を変えれば、味覚で競争する次元にまだなかった。

 転機が訪れたのが、2000年。生茶が誕生し、それまでの緑茶のイメージにとらわれない新たなコンセプトで市場を席巻した。これに続く形で、言ってしまえば緑茶に“ありもしない”概念を各社が持ち込んで、競争を仕掛けていった。

 だが、新コンセプト合戦はすぐに収束した。代わって台頭したのが、緑茶の本来の味わいを訴求する商品。王道感のある緑茶の競争へと転じた。

 04年、その先頭を切ったのが、伊右衛門だ。各社が再び主力商品を投入し、ブームを巻き起こした緑茶飲料市場は、冒頭の通り05年に過去最高を更新した。

 その後は07年に綾鷹といったメガブランドなども登場したが、市場としては、休戦状態となった。08年のリーマンショックを背景とする消費不振、デフレによるプライベートブランド(PB)の台頭が要因だ。

 緑茶飲料市場が息を吹き返してきたのは、11年頃のこと。今日まで続く消費者の健康志向の高まりによって、緑茶の持つ本来の健康イメージが見直されつつあった。

 特定保健用食品表示のついた商品などが市場を押し上げた。13年には、「伊右衛門 特茶」が発売され、大ヒットとなった。

 また、健康志向の高まりで、炭酸飲料などの加糖飲料から、茶系飲料といった無糖飲料への大きなトレンドシフトも起きた。成分が濃縮されたイメージを持つ、“にごり”や“濃さ”を売りにした商品が、直近のブームを下支えした。

 こうした環境の中にあっても、お~いお茶は、常に泰然自若としてきたように映る。いまや緑茶の代名詞ともいえる「お~いお茶」は、平成元年(89年)の生まれ。もう少しで30歳になる。初めての缶入り緑茶や、ペットボトル緑茶、ホットのペットボトル緑茶など、数々のイノベーションを打ち立ててきた自負があるのだ。