最近、ビジネスの場でプレゼンテーションを行う機会が増えている。営業職だけでなく、技術者や経理担当者にも顧客の前でプレゼンすることが求められる。スムーズに好印象を残すには普段から準備をしておくことが重要だ。今回は8月23日に『マイクロソフト伝説マネジャーの 世界No.1プレゼン術』を上梓した澤氏が行っている日頃のプレゼン準備についてご紹介する。(日本マイクロソフト マイクロソフトテクノロジーセンター センター長 澤円)
プレゼンテーションの機会が増加
話し下手でも客先で要求される
みなさんこんにちは、澤です。
最近、社内外からプレゼンテーションの講師を頼まれる機会が増えてきました。これは、とりもなおさずビジネスにおけるプレゼンテーションの重要性が高まっている証拠ではないかと思います。
そして、「製品がよければ売れる」「値引きすれば売れる」という発想はまったく通用しない時代に突入し、「いかにして価値を正しく伝え、相手の共感を得てビジネスの成功を手にするか」が最重要視されるようになったことで、プレゼンテーションのうまい人の活躍できるフィールドが広がったともいえます。
また、ビジネスのスピードがどんどん高速化してきていることにより、「作る人」と「話す人」の役割を分けるよりも「作った人が話す」のが効率的であるという考え方も生まれてきました。その結果として、今までプレゼンなどしたこともないモノづくりのエンジニアやプログラマーがプレゼンの大役を担う場面が増えてきているようです。
「人前で話すのが苦手だからエンジニアになったのに…」というタイプの人にとって、これはなかなかタフな状況に違いありませんね。しかし、ビジネスの現場は待ってくれません。
「今度お客さんとの打ち合わせの時、同席してこのサービスの概要を説明してくれる?」
「来月の顧客向けのセミナーで、『製品開発秘話』みたいなのプレゼンしてよ」
こんな依頼が急に舞い込んでくることも珍しくない時代なのです。
間接業務を担当している人も安心できません。経理や人事を担当している方は、社内向けの説明だけでなく社外向けの説明機会も今後はどんどん増えてくるかもしれません。
実際、私の所属する日本マイクロソフトの経理や人事、法務といった「バックオフィス業務」の方々も、それぞれの視点から自社のことを顧客にプレゼンすることで、会社そのものの価値や信頼を向上させる一役を担っています。「プレゼン講座を開いてほしい」という依頼が私のところに来るくらい、切羽詰まっているようです(笑)。