今回は東日本大震災で大きな揺れを観測した超高層マンション(タワーマンション)を取り上げ、これから買うのはアリか?ナシか?を考える。「人気に陰り?」という記事も多く見受けられるが、これはホントなのかについても検証していきたい。
震災から半年の今、
再び人気が高まるタワーマンション
東日本大震災が起こった3月11日、14時46分。それからかなりの時間、震源地から遠く離れているにもかかわらず、都心の超高層ビルは揺れていた。その時間は数分~10分程度だったと聞いている。
しかし、わが社(49階建てビルの21階)の社員達に聞くと、それ以上の時間、揺れていた感があったと言う(私は幸運にも体験しなかったが)。船酔いに似たかなりの気持ち悪さを覚えた人が多かった。周囲で声を掛け合いながら、精神的に支えあい、気持ちを落ち着かせたようだ。
同じ時、こうした長時間の揺れを1人、もしくは数人で体験した人がいる。それが、タワーマンションに住む方々だ。「かなりの恐怖体験だった」とインタビューに答えていた住人の方もいる。
揺れによる恐怖だけでなく、エレベータが停止して身動きが取れなかったなどの問題もあり、かつては高い人気を誇っていたにもかかわらず、今では「高層階に住むのって地震の時どうなの?」という声までもささやかれている。
しかし、「喉もと過ぎれば…」ではないが、タワーマンションの売れ行きは、(震災直後は別として)現在では、以前と変わりなく好調のようだ。
昔は湾岸エリアばかりではなかった!
多数あった都心一等地、工場跡地での建設
タワーマンションとは、一般的に地上60メートルを超えるマンション、およそ20階建て以上の物件を指す。
東京都心は1990年代初めごろまで、都市化の進行度のわりに高層物件が少ない街だった。アメリカの主要都市と比べると、その差は歴然としていた。しかし、1990年代中ごろから一等地に高層ビルが増え始めた。そして、その後を追うように、タワーマンションが建つようになり、2000年代には急増した。そして、その多くは人気マンションとなり、販売戸数が多い(大きな売上となる)タワーマンションはデベロッパーの収益に大きく貢献した。最上階物件は数億円することも珍しくなく、「億ション」なる言葉が一般化した。