日本の製造業復活のカギは「トヨタ生産方式」の正しい活用だ

視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

日本の製造業、自動車産業はまだまだ健在

 8月22日、日本経済新聞は「富士通が携帯電話事業を売却する方針を固めた」と報じた。売却先候補には、投資ファンドをはじめ聯想集団(Lenovo)や華為技術(Huawei)、鴻海精密工業(Foxconn)などが挙がっているそうだ。

 2016年にはシャープが台湾の鴻海精密工業に売却されている。経営再建中の東芝も、半導体子会社「東芝メモリ」の売却先を模索中だ。ここ数年、日本の電機産業の低迷が続き、事業撤退や海外企業への事業売却など話題が尽きない。

 その一方で、日本の自動車産業は好調だ。2016年の世界販売台数でトヨタグループが1位の座を守り、ホンダやスズキ、さらにルノー・日産アライアンスもトップ10に名を連ねている。

 日本のものづくりの低迷が叫ばれて久しいが、それは電機産業のみにフォーカスを当てた主張だろう。世界に冠たる日本の自動車産業はまだまだ健在なのだ。

 トヨタ自動車には、有名な「トヨタ生産方式(TPS)」がある。これが同社の競争力の源泉であるのは間違いない。だとすれば、苦境にある電機産業をはじめ、日本の製造業全体がもっとTPSを学べばいいのではないだろうか。