Facebook、Twitterなどのソーシャルメディアが台頭するなか、このほど「モノ」に焦点を当てた「Sumally」(サマリー)というSNSが誕生した。
これは「全てのモノを足し上げた百科事典を作りたい」(株式会社サマリー・山本憲資代表)というコンセプトの基に立ち上げられた日本発のSNSである。「Sumally」とは、“sum”(足す)と“all”(すべて)から成る造語だ。
「人間が生み出し続けるモノをアーカイブしていかないのは、人類的な損失ではないか」(同氏)という言葉の通り、「Sumally」には、ネットで紹介されているありとあらゆる「モノ情報」がアップされ続けている。ユーザーはそれらの「モノ情報」を介して、互いにコミュニケーションを図る仕組みだ。
アクセスしてまず目を引くのは、シンプルかつスタイリッシュなサイトデザイン。インテリアや雑貨、衣類などの写真が、大胆なレイアウトで配されている。そして、各写真上にマウスを持っていくと、“want it”“have it”という2つの項目が表示され、どんなユーザーがその商品を欲しがっているのか、あるいは持っているのかが示される。
「Sumally」の一番の特徴は、この“want it”“have it”の2項のみで商品を「仕分け」できる点であろう。ユーザーは直感的かつシンプルなアクションで、まるでウィンドウショッピングをするかのように愉しむことができるのである。気になる商品を見つけたら、どんどん“want it”ボタンをクリックする。そうやって、自身のマイページに商品情報を蓄積していくのだ。
もちろん、自分で商品を登録していくことも可能である。専用のブックマークレットが用意されているので、紹介したいモノのサイトを表示させてからブックマークレットを起動させればよい。ジャンルやブランド名などの必要事項を記入したのち、“want it”“have it”のいずれかを選択してポストすれば、「Sumally」に反映される。
現在「Sumally」は招待制を取っているが(閲覧はユーザー登録していなくとも可能)、Facebookの友人か、Twitterで自分をフォローしてくれている人物が「Sumally」に登録していれば、サインアップが可能となる。自身の友人やフォロワーに「Sumally」ユーザーがいるかどうかは、サインアップページにて確認することが可能だ。画面にあるFacebook、あるいはTwitterのロゴマークをクリックした際に、アカウント認証されればオーケー。登録画面へと進むことができる。
ユーザーからの評判は「非常に良好」(同氏)とのことで、実際にTwitterなどを見てみると「はまった!」「面白い!」とつぶやいているユーザーが実に多い。
さらに、ビジネス的な観点から少々穿った見方をすれば、“want it”“have it”情報は、ユーザーと企業をつなぐ架け橋となる可能性もある。「世界で使われるサービス」(同氏)を目指しているという「Sumally」だが、そのポテンシャルは未知数といえるだろう。
「モノ情報」はすなわち、「人の個性」を表象する情報でもある。「モノ」と「ヒト」とが、有機的に結びついた21世紀型の新たな百科事典の行方に期待したい。
(中島 駆/5時から作家塾(R))