世界に大きな波紋を広げた
ボルボの全電動化宣言

ボルボ「全電動化」宣言への誤解、全車EVになるわけではないPHEVのボルボXC90 T8 Photo:VOLVO

 スウェーデンのボルボ・カーズが7月初めに、2019年以降は発売するボルボ全モデルを電動化すると発表した。つまり、19年以降の「全電動化」を宣言したわけであり、「EV大転換時代到来」と騒がれる最近の大きな流れの中で、これだけ早い時期に明確な電動化を打ち出したのは、大手自動車メーカーでは初めてのことである。

 それだけに、このボルボ・カーズの「全電動化」宣言は、注目と動揺が入り混じって大きな波紋を広げている。

 折しも、日産が新型電気自動車(EV)「リーフ」を6日、大々的に発表し注目を集めた。新型リーフは、10年に初代モデルが投入されて以来、7年を経過しての2代目モデルだが、1充電で航続距離400㎞(JC08モード)と従来の40%増を実現した。また、EVと相性のいい自動運転技術を活用し「日産がゼロ・エミッションのリーダーシップを握るための牽引車」(西川廣人社長)と意気込んで、EVリーダーメーカーの復権を狙う。

 そんな中で、ボルボの「全電動化」宣言は、衝撃的であった。19以降、すべてのモデルを電動化に切り替えるという戦略は、「いかにもボルボらしい」との見方がある一方で、既存のボルボユーザーからは「ガソリンエンジンやディーゼルエンジンで我々が乗っているボルボ車はどうなるのか」と不安の声も上がっている。

すべてを
EVに転換する意味ではない

 もっとも、このボルボ電動化戦略の中身をよく見れば、その実態はすぐにすべての車種をEVに切り替えるというわけではないのだ。ボルボ・カーズの発表内容によると、「全モデルに電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、もしくはマイルドハイブリッド車をラインナップする」とある。