このまま状況に流されてしまうと、行きつく先は……?
まず一つ目の誤解が、「いままでと同じことをしていれば、この先もどうにかなるだろう」という思考停止に近い楽観論です。
二つ目が、「みんなと同じにしていれば、大丈夫だろう」という横並び志向。
そして、三つ目が、「いまの仕事で頑張っていれば、そのうち認められる日が来るだろう」という現状肯定思考。
この三つがそろうと、わざわざ面倒くさいことをして、リスクを覚悟して変化を起こそうとは思わなくなるものです。しかし、本当に、いまのままで大丈夫でしょうか?
連日のように報道されているとおり、東日本大震災以後の電力使用制限や、円高など数々の打撃を受けて、いま多くの企業ではコスト削減競争で必死になっています。その最たるものが人件費。
特に、いまの日本人の賃金水準は世界一ですが、能力や生産性の面では決してそれに見合った水準とはいえないのですから、企業にとっては重たい負担です。工場や会社の海外移転や、業務の一部を中国やベトナムなどに安く移管する話は、どのような企業でも話題に上っています。
ということは、いつ、あなたの仕事や職場が、この日本から消えてなくなっても不思議はありません。「いまの仕事で頑張っていれば、いつかは認めてもらえるはず」と期待していても、その仕事そのものが、なくなってしまうかもしれません。「みんなと同じ」と思っていても、その「みんな」が一斉に仕事を奪われてしまうかもしれないのです。
すでに多くの企業では、真剣にリストラ策を練り、「社内に残す人材」と「辞めてもらう人材」を選別するために、新しい基準づくりが進んでいます。「会社は、全社員を平等で公平に考えてくれる」なんていう幻想を信じていたら、痛い目に遭うかもしれません。
これでも本当に、この先もずっと安心していられますか?
これから起こる変化の波に流されて、不本意な状況に陥らないためには、まず、しっかりと自分の頭で「自分はどうなりたいのか?」「将来、どのような仕事をしていたいのか?」「どのような働き方が自分に合っているのか?」と真剣に考えて、明確なキャリアプランを描き出しましょう。
別に、いますぐに転職や独立起業をする必要はありませんし、事業計画書や細かいスケジュール表をつくる必要もありません。
まずは、自分らしく自己実現できる方向性や目標を考えるところから始めましょう。それが、自分でコントロールする舵を持って、キャリアの海を航海するスタートになるのです。