「タイムライン」の画面。ユーザーの個性を活かしたプロフィールページの作成が可能になった。

「僕の人生のすべてがここにある」

 9月に開催された開発者向けコンファレンス「F8」で、マーク・ザッカーバーグ氏は、Facebookの新しいプロフィール公開機能「タイムライン」についてこのように述べた。

 この言葉が象徴するように、この度Facebookに導入された「タイムライン」は、まさにユーザーの人生をそのままネットに反映させてしまう試みだ。すなわち、ユーザーのプロフィールページに、従来とは比較にならないほどの情報を表示させることが可能になるのである。

「タイムライン」の特徴は、実に多様だ。まずトップには「カバー」というスペースが設けられており、好きな写真をかなり大きなサイズで貼り付けることができる。この「カバー」にプロフィール情報や、友達などの基本情報が集約される形だ。

 そして、自身の最新情報のみならず、過去に遡って情報を閲覧、あるいは追加していくことができる。誕生日や入学式、就職、結婚といったライフイベントを次々と自分のプロフィールに付け加えていくことで、個人のライフログがFacebook上に作成されていくのである。

 新しいプロフィールページでは、基本的には最新の情報が表示され、過去の情報は要約される形となる。そして、過去に遡るほど情報は凝縮されるという。だが、過去の情報は年月日ごとに整理され、素早くアクセスすることができる一方、とりわけ重要なトピックはハイライト機能を使ってピックアップすることもできる。

「タイムライン」の利点としては、よりユーザーの個性を反映したプロフィールページを作成できる点が挙げられる。たとえば、旅行好きのユーザーであれば、旅先の写真や地図などがプロフィールページに表示されることになる。ザッカーバーグ氏が「自分のホームだと感じされるような場所を作りたかった」と述べるように、ユーザーが自身の趣味・嗜好を色濃く投影できる場になるという点が、「タイムライン」の導入による大きな変化と言える。

 さらに「タイムライン」には、「リアルタイムフィード」という欄も用意されている。こちらは自身や友達の些細な行動を文字通り、リアルタイムに表示してくれるもの。Twitterを思い浮かべる向きも多いかと思われるが、Facebookの場合はかなり趣が異なる。

 その一番の理由は「ソーシャルアプリ」の存在である。今回の「タイムライン」の導入は、「ソーシャルアプリ」との連携強化という意味合いもある。「ソーシャルアプリ」は、アプリ内でのユーザーのアクティビティや履歴を「リアルタイムフィード」などに追加していく働きをする。たとえば、今聞いている音楽のタイトルや読んでいる新聞記事、視聴中の映画、ランニングの経路といったあらゆる情報が、自動的にFacebookに同期されることになるのだ。

 Facebookはこれを「自己表現と発見を実現する」ツールだと唱えるが、一方で、「行き過ぎたオープン化である」と危惧する声もある。過去へと遡ることのできる「タイムライン」という機能が、実は未来を先取りする試金石であることは肝に銘じておきたい。

(中島 駆/5時から作家塾(R)