「AGFA」が力を入れるホームエージェント戦略

 ところで、GoogleやAmazonのような市場で覇権を握る企業を「AGFA」と表現することがある。Apple、Google、Facebook、Amazonの頭文字をつなげた言葉である。故にFacebookやAppleは同様な戦略を考えていないのだろうか。

 AppleはすでにSiriというAIエージェントを持っている。新しいiPhone Xでは顔認証(Face ID)とSiriの組み合わせで同様な戦略が展開可能だ。たとえば、自動車メーカーは、自動運転やコネクテッドカーに、iPhoneとSiriの組み合わせでアライアンスを組むことができる。Amazon Echoを車に乗せてもいいのだが、iPhoneは単体でモバイルネットワークに直結できる強みがある。OSやアプリマーケットがオープンではない分、セキュリティ上のメリットもある。

 Facebookも、AIによる「ダイアログエージェント」という対話ボットを研究している。現状ほとんどのAIやチャットボットは、会話のコンテキストを把握できない。固定的な名前や誕生日などを記憶しておいて利用することはできるが、生の会話で省略された主語や名詞の意味を理解することが難しい。この点ダイアログエージェントは対話による交渉を可能にするとしているので、SNSの投稿や「いいね」以外の機能を実現しようとしている。

住宅のAI化で生活はどれだけ便利になるのか

 AIエージェントに関するトレンドには、スマホやPC(のタッチパネルやマウス・キーボード)の代わりとしてのAIスピーカー以外に、もうひとつのアプローチが存在する。

CASPARのスピーカーマイクが埋め込まれた住宅(インヴァランス社モデルルーム)

 少し前はスマートホームやインテリジェント住宅などと呼ばれていたが、住宅に電気やネットが組み込まれているように、AIエージェントと制御ネットワークが最初から備わった住宅が登場している。たとえば、BoT(Brain of Things)というアメリカ西海岸のベンチャーは、CASPAR(キャスパー)というAIを使ったインテリジェントホームを提供している。

 BoT社は、スタンフォード大学教授でありカーネル大学でもAIを教えていたアシュトシュ・サクセナ氏、同じくスタンフォード大学でコンピュータサイエンスを教えていたデビッド・シェリトン氏が2年ほど前に起こした会社だ。Google創業者であるラリー・ペイジ氏、セルゲイ・ブリン氏はシェリトン教授の元で学び、Googleを起業したときは最初の出資をしてもらっている。

 CASPARが先進的なのは、命令をしなくても家の中のモーションセンサー、カメラ、マイクなどの情報を元に、照明、エアコン、テレビ、カーテンなどを制御してくれること。家電や機器の制御は、音声認識による命令も可能だが、センサーを駆使して住人の行動から必要な処理や制御をAIが判断してくれる。寝るときに「テレビと電気を消して」と命令しなくても、ベッドに入れば(就寝と判断されれば)いい。