年末年始の円安から、先週は再び円高の動きになっています。では、当面の展開を考えた時、年末年始と先週で、正しいのはどちらでしょうか。その答えは、普通なら今週出ることになるのですが――。

 年末年始の円安・ドル高の動きは、先週95円手前で一巡し、改めて90円割れの円高・ドル安再燃となっています。

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 このように年末年始の動きが1月第2週で足踏み、さらに反転するということ自体は例年のパターンどおりです。

 先週のレポートでも書いたように、1月第2週は経験的にポジション調整が入り、クリスマス休暇明けの動きが仕切り直しになりやすいということがあります(「ドル/円は100円に戻るのだろうか?」参照)。

 その意味では、年末年始の円安から先週円高となったところまでは、経験則どおりと言えるわけですが、問題は、当面、たとえば1月の方向性を考えた場合、年末年始と1月第2週のどちらが正しいかということです。

 下表は、過去10年間の1月のドル/円について調べたものです。これを見ると、過去10年間で1月第1週と第2週のドル/円が同じ方向に動いたのは5回ありましたが、そのすべては1月を通じて同じ方向に動いていました。

 その意味では、年末年始の動きが、1月第2週でも大きく変わらなかった場合は、そのまま1月を通じて同じ方向に動く確率が高かったわけです。

週末終値90円というマジックナンバー
雇用統計悪化でも市場の動きが異なる?

 ただし、今年の場合は、1月第1週と第2週のドル/円が逆方向の動きになりました。

 同じようなケースは、過去10年間で5回ありましたが、その中で1月の月足と週足が一致したのは、第1週が2回、第2週が3回と分かれました。これだけでは、第1週と第2週のどちらが1月の方向性を反映しやすいのか、わかりません。

 そこで、さらに1月第3週のドル/円についても調べたところ、1月第1週と第2週のドル/円が逆方向に動いた場合では、第3週の方向性が1月の方向性とすべて一致していたことがわかりました(上表の×をつけた年)。

 以上を総合すると、新年相場の方向性が第2週までに決まらない場合でも、さすがに第3週までには決着する確率が高そうです。

 単純に経験則を当てはめると、今週90円程度でドル/円はスタートしているので、週末その水準よりドル高・円安か、ドル安・円高かによって1月の方向性が決まることになりそうです。

 ところで、先週円高再燃へ転換するきっかけになったのは、雇用統計など米景気指標悪化でした。特に週末発表された昨年12月米雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)が前月に続き50万人超の減少となり、失業率も一気に7.2%まで急上昇しました。

 このように、米雇用統計が悪い結果だったから、株安・金利低下・ドル安となったのは、一見しごく当然の結果のような気がします。

 ただ、雇用の激減といったことでは、先月も同じでしたが、先月の場合は発表当日、株高・金利上昇・ドル高となりました。つまり先月と今月では、雇用統計発表後の金融市場の動きが正反対になったのですが、なぜでしょうか?

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