1回10分の運動で3年後の学力に大差がついた!

「運動すると頭がよくなる」というのは本当です。「子供の成績が悩ましい」という親御さんは、激しい運動ではなくていいので、座りがちな子供をまず立ち上がらせてみてはいかがでしょうか。

 もちろん、立ったついでに歩く、走るなど運動をすれば脳の刺激量を増やせることはいうまでもありません。

 立って動くことと子供の脳への影響を知る興味深い調査報告があります。
 この実験は、国内の8~9歳の子供を3年にわたって追跡調査したもので、具体的には、教室内で1回10分程度のやや激しい中高強度の運動を週に90分程度行うプログラムを実施し、学力の変化を調べるものです。

 結果はどうなったでしょう。プログラムに参加した子供は、参加しない子供と比べて3年後の学力が著しく向上したのです。運動と脳の働きは深くつながっていて、体をよく動かした子供ほど脳の発達が促されることがわかります。

 ところが、昨今、子供たちにも座りすぎが蔓延しているのです。

 子供といえば、ひと昔前までは放っておいても元気に飛び回っているイメージがありました、ですが、残念ながら今は大人と変わらないほど座ってばかりです。学校では体育の授業以外はほとんど座っているし、学校以外の時間も塾で座り、テレビやスマホを見ながら座り、ゲームをしながら座りの生活で、外で遊ぶ時間がめっきり減っています。

 そのため、1985年をピークに体力もがくんと下がっています。意外に思うかもしれませんが、座りすぎの研究は、もともと子供の肥満が大問題になったことから始まったのです。

 大事なのは、子供時代のライフスタイルは大人になっても影響を与え続けることです。逆に子どもの頃から座りすぎないクセをつければ、将来的に健康を維持しやすくなります。海外では、学校で立ち机を導入する動きもありますが、基本的な対策は、兎にも角にも「立ち上がる」ことです。