堂々と違法賭博店が営業中
「撮影すると面倒なことになるよ」

横浜・寿町、白昼堂々の違法賭博にヤクザが闊歩する異世界(上)真っ昼間から堂々と営業している違法競馬屋。男たちが食い入るようにテレビの画面を見つめている Photo by K.A

 一般に、こうした違法賭博は、喫茶店やスナックといったところでひっそりと行われているものである。しかし、ここ寿地区では白昼堂々とオープンに営業している。記者がその周囲をうかがっていると、店から出てきた70歳代くらいの男性から声をかけられた。

「兄さん、ここで買ったらダメだよ。警察に捕まるよ。それに写真なんて撮ったらダメだ。面倒なことになるよ…」

 この男性がいう「面倒なこと」という物言いが、底知れぬ恐ろしさを掻き立てる。だが、なぜ、この男性は「警察に捕まる」ような店に出入りするのだろうか。近くには「ボートピア横浜」(場外舟券売り場)もある。こちらなら合法だ。誰に憚ることなく出入りできる。

「いや、いろいろつき合いもあるんだよ…。それに、こっちのほうが行き慣れてるから」

 多くを語ろうとしない男性を引き止めて、さらに話を聞いてみると、男性は長年、港湾荷役作業の日雇い労働者として働いてきたが、現在は生活保護受給中。家族もおらず、寿町で1人暮らしているという。唯一の趣味は、違法賭博店での競馬だ。

「長年働いてきて、趣味らしい趣味も持たず…。もう人生、そんなに長くはないんだ。これくらい、いいじゃない」

横浜・寿町、白昼堂々の違法賭博にヤクザが闊歩する異世界(上)路上で寝ている人がいるのは西成も同じ。ドヤ街独特の光景であるPhoto by K.A

 男性は記者にこう語ると、足早に歩いていき、歩道から車道に向かって立小便をした後、ラーメン1杯400円だという中華料理店へと入っていった。その中華料理店の近くには、路上で空調の室外機を日よけにして寝ている人がいた。

 違法賭博店周辺の路上には、駐車車両と放置車両が何台かある。駐車車両のなかには布団や食料品をどっさり積み込み、そこに人が寝ているものもあった。

 記者が、警察からの警告書が張り付けられた放置車両を見ていると、地元民という男性から、「こういうの早く退かしてほしいね」と話しかけてきた。聞けば、半年くらい前からずっとそのままだという。こうした放置車両に立小便する人が多いのだという。

「横浜市内でも、この寿町一帯は、こうした放置車両を退かすにも時間がかかる気がする。ガラの悪い地域だから後回しなのかね。最近は若い人や学生さんも来て、ドヤ街のイメージも変わってきたのにね」