二つの目標、「おもしろさ」と「数字」

 東京R不動産では毎年目標を設定するが、それはまったく違う二つの軸で決めている。一つの軸は「おもしろさ」だ。目標というのは、自分たちの仕事にとって何が大事なのか、そこから入るべきものだ。僕らにとって大事なことは、第一に、伝える情報のおもしろさだ。楽しくておもしろい店(サイト)であること。

 だから例えば、「去年よりサイトがおもしろくなる」ということ自体が目標のテーマになり、「そのために二つの重要なアイディアを実現する」といったチーム目標が設定されたりする。僕らにとってサイト(売り場)がおもしろく楽しいことは生命線だから、これは絶対に欠かせない。おもしろい物件があってこその東京R不動産なのだ。

 もう一つの軸は「数字」の目標で、これは基本的には売上のこと。時には売上とともに「掲載物件数」が入ってくる。僕らは目標のためにとにかく売りまくるというタイプではないけれど、いい物件を見つけることが売上につながることを知っている。

 だから、いかに効率よくいい物件をたくさん紹介できるかを追求するために、目標を設定して日々の行動につなげる。それが結果的にユーザーに価値を届けることになるのだ。言いかえれば、この二つは数字的目標と定性的目標であり、あるいは「出すべき成果」と「ミッション(使命)」と言えるかもしれない。

 それらはどちらが大事ということはない。「仕事と私のどっちが大事なの?」というのと同じで、要するにどっちも大事なのだ。「とりあえず数字は上がったけど最近おもしろくないな」という状況が続けばやがてダメになるし、「おもしろいけど全然売り上げてないね」というのでは続かない。