配偶者控除の改正で
得する世帯、損する世帯

 では、改正の前後で手取り額はどう変化するのか。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの井戸美枝氏の協力を得て、損する世帯、変わらない世帯、得する世帯の三つの世帯をシミュレーションした。扶養控除が適用される子供、親はいない前提である。

 夫の年収1250万円、妻の年収100万円の世帯は配偶者控除38万円がなくなり、手取り額は984万5678円から974万2613円に減る。10万3065円もの大幅なマイナスだ。

 次に、夫の年収1150万円、妻の年収115万円の世帯は、控除枠が26万円で変わらず、手取り額は915万円台でほぼ同じ。

 改正による恩恵が大きい典型が、夫の年収が600万円、妻の年収が150万円の世帯。夫の年収は改正による控除枠の上限の頭打ちの影響を受けない水準で、妻の年収は、改正前は控除枠がなかった水準だが、改正後は38万円の控除を受けることができる。手取り額は580万9875円から584万5150円に増加し、3万5275円のプラスとなる。

 妻の働き方を左右するのは、税金だけではない。社会保険への加入の有無も大きく影響する。

 妻が社員501人以上の会社に勤めている場合は、年収が106万円超(加えて勤務時間が週20時間以上)になると、健康保険や厚生年金などの社会保険に加入することになる。年14万円前後の負担が一気に発生することから、「106万円の壁」と呼ばれている。

 年収が106万円を超える形で働くつもりなら、124万円を超えるようにすれば、加入前の手取りを回復できる。加えて、夫の年収が1220万円以下の場合は、年収が150万円を超えると配偶者特別控除が縮小していくことにも留意しておきたい。

 一方、妻が社員500人以下の会社に勤務している場合は、年収が130万円以上になると国民健康保険、国民年金に加入しなければならないので、手取り額が減少する。いわゆる「130万円の壁」である。

 会社によって上下するが、目安として年収が156万円以上になるように働くと社会保険に加入でき、保険料負担(社会保険料は会社と折半)が減るので手取りが増える。夫の年収が1220万円以下の場合に配偶者特別控除の縮小に目配りが必要な点は、社員501人以上の会社の場合と同じだ。