野田政権でも始まった支持率の低下
政策運営でポピュリズムと決別せきるか
最近の世論調査によると、“どじょう宰相”=野田首相に対する支持率が低下している。支持率低下の背景には、不用意な発言を行なった閣僚に対する対応の拙さや、消費税引き上げ問題、さらには民主党内部の意見対立などの様相があるのだろう。すでに、来年の解散総選挙や首相退陣の観測が出始めている。
私は個人的に、“どじょう宰相”に大きな期待をかけている。野田首相にポピュリズムと決別して欲しいと思っている。
先の総選挙で自民党が敗北し、民主党が政権与党となった。当時の民主党の選挙用のマニフェストを振り返ると、国民にとって耳触りの良い美辞麗句が並んでいる。言ってみれば、選挙用のポピュリズム=“人気取り政策”が紙上に所狭しと踊っていた。国民は、それを鵜呑みにしたわけではないが、その美辞麗句に期待した部分はあっただろう。
ところが、実際に民主党に政権を委ねてみると、期待とは裏腹(あるいは予想通り?)に色々なところに政治的な渋滞が発生している。大震災復興計画の遅れや沖縄の基地問題などが、その代表例と言える。
現在のわが国の状況を考えると、国民に迎合するようなポピュリズム政治を続けている余裕はなくなりつつある。子ども手当や高校の授業料無償化など、予算バラマキ型の政策を行なえば財政支出がかさみ、わが国の財政状況を一段と悪化させることになる。
そうした状況を打開し、わが国の将来像を展望するために、“どじょう宰相”には、国民から嫌われる政策を採って欲しいのである。国の信用力が極端に低下したギリシャやスペイン、イタリアでは、ポピュリズム内閣が倒れた。そうなる前に、“どじょう宰相”に何とか、国民に嫌われるスタンスを取って欲しい。
わが国の経済・社会情勢を考えると、政治が今までのようなポピュリズム優先の姿勢をとっていると、いずれ危機的な状況に至ることは避けられない。わが国の人口はすでにピークを過ぎ、人口減少局面に入っている。しかも、出生率の低下によって少子高齢化は、世界でもトップレベルのスピードで進展している。