7位「日本で4番目に長い夏をすごせた」
天理 神野太樹外野手/2017年 甲子園
※出典 livedoorNEWS
甲子園球児は、試合に負けると「夏が終わりました」という言い方をします。一番最後まで野球をやれるということは、甲子園球児たちにとって「優勝する」という意味。2017年夏の甲子園でベスト4に残ったことを「日本で4番目に長い夏」と表現したのは、非常に上手だなと思いました。
「日本で4番目に、長い夏をすごせた」
「4位になりました」と言うよりも印象に残りますし、選手たちの心にも残った上手な伝え方だったと思います。
6位「パンダだったら客は呼べないより呼んだ方が良いから、そこはね、しっかりと、シャンシャンに負けずに役割を果たします」
小泉進次郎氏/衆議院総選挙TV特番
※出典 テレビ東京『池上彰の総選挙ライブ』(2017年10月22日)
今年の衆議院選挙で選挙特番の番組中。池上彰さんから「なんでこんなに人寄せパンダに使われるんだ!という思い、あったでしょ?」ときわどい質問を投げかけられた小泉進次郎さん。この質問への切り返しが、非常に見事でした。
「まあ、パンダだったら客は呼べないより呼んだ方が良いから、そこはね、しっかりと、シャンシャンに負けずに役割を果たします」
政治家に対して辛口で有名な池上彰さんに、不快感や怒りを示す政治家も結構います。その中で小泉進次郎さんの言葉はユーモアがありつつも、真摯さを感じさせる上手な伝え方だったと思います。
5位「激動の時代、こんなときだからこそ変えてはいけないぶれない軸、未来のために今を変える覚悟を持つべきではないか」
トヨタ自動車 豊田章男社長/入社式(2017年4月3日)より
出展 日テレ NEWS24
トヨタ自動車の社長が新入社員に向けたメッセージです。トヨタ自動車の新入社員だけでなくこの時代のビジネスパーソンであれば誰であっても学びのあるコトバです。この意味をストレートに言うとしたら
「こんなときだからこそ、ぶれない軸、今を変える覚悟を持つべきではないか」
という伝え方になるかと思います。もともと内容が素晴らしいです。でもそれだけではありません。実際に言った
「激動の時代、こんなときだからこそ変えてはいけないぶれない軸、未来のために今を変える覚悟を持つべきではないか」
というスピーチは同じ内容なのに、さらにパワーアップしています。なぜ、同じ内容なのにぐっとくるのか。そこにコトバの秘密があります。「激動の時代」と「ぶれない軸」、「未来」と「今」という正反対のコトバが2組入っているのです。これは、「ギャップ法」という伝え方の技術。一番伝えたいメッセージの前に、あえて正反対のコトバをいれると、ギャップが生まれ、印象に残る、強いメッセージを作り上げることができるのです。