「リレーメッセージデモ・わたしたち、明日を生きてもいいですか?」の様子。デモの一団は、時に談笑しながら和やかに、午後の新宿を歩んでいった

 この日、Aさんがデモに参加したのは、生活保護を「守んなきゃダメ」だからだった。Aさんは、拉致被害者を救う活動にも参加している。ちなみに、今上天皇を尊敬しているAさんは、一般参賀のために皇居を訪れることもある。どういうつながりがあるのか。

「みんな、辛いじゃないですか。いきなり北朝鮮に連れ去られた人たちも、家族の方々も、ホームレス状態の方々も、生活保護の方々も。本当は、政治家に解決してほしい問題なんです。僕は一市民として、それを訴えることしかできないから、今日もデモに参加しました。政治がちゃんとしてくれれば、今よりは良い方向に行くと思います」(Aさん)

 デモに参加して声をあげたくらいで、問題が簡単に解決するわけはないだろう。拉致問題も生活保護問題もホームレス問題も、解消するわけはないだろう。でも「黙ってちゃダメ」。その思いがAさんを静かに歩ませる。

生活保護削減なら就活が困難に
これでは本末転倒では?

 Mさん(女性・38歳)は、2010年、精神疾患が原因で失職したことをきっかけとして、生活保護で暮らすようになった。治療を受けながら就労支援プログラムに参加し、現在は再就職が現実となりそうな状態まで回復している。そんなMさんにとって、2018年秋に現実になるかもしれない生活保護基準引き下げは、再就職の足かせになりかねない。

手芸の得意なMさん(38歳)は、生活保護で暮らしながら精神疾患を治療し、再就職へと歩み始めているところ。猫のお面は自身の作品。「引き下げSTOP」という文字が踊る

 今、Mさんが困っているのは、就職活動の費用だ。交通費だけは生活保護の「生業扶助費」から出るのだが、後払いなので給付まで「待つのが大変」だということだ。

 生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度だが、就職にあたっては生活保護なりの「最低限度」というわけにはいかない。面接に臨むにあたっては、髪は美容院で整え、化粧をする必要がある。スーツもパンプスもビジネスバッグも必要だ。安価なものや中古品で済ませるとしても、「それなり」の出費になる。これらの費用の中には、福祉事務所の方針次第では生活保護費でカバーされ得るものもあるのだが、「現状では無理かなあ」と思われる物品も多い。