加えて、もちろん個々の学校によって事情は異なるのだが、資金運用に関わる人がごく少数である場合が多い。例えば、建学者の一族や理事長などに近い人、あるいはごく少人数の財務担当者などが運用資産を扱っていて、有り体に言って、彼らは運用のプロではない。親しくなった金融マンのアドバイスをよく聞き、金融機関の半ば意のままにお金を動かしてくれる"上客"になることが多い。

 先の外資系証券マンの場合、仕組み債券など証券会社にとって利益が大きな商品を、学校法人の顧客に買ってもらっていたので大いに利益が出て、多額のボーナスにつながったのだが、顧客である学校は商品の内容を理解していなかったことが確実だ(なぜなら、プライシングを正しく理解していたら、仕組み債など買うはずがないからだ!)。

 早稲田大学の資金運用がどのようなものになるのか、現時点では分からない。記事には「海外の未公開株」とあるので、実は運用に通じたプロを何人も抱えた本格的運用体制があるのかもしれない。そうではなく、金融機関(外資系、国内系を問わない)のアドバイスで運用しようとしているなら、かなり危ういのではないかと他人事ながら心配だ(筆者は、同大学の関係者でもOBでもないが、近所に住んでいるので親近感を持っている)。

大学は資金をリスク運用していいか?

 大学が、自ら抱えている資金を、リスク資産も含めた資産に投資して運用することは、決して悪いことではない。エール大学、ハーバード大学など、基金の運用で成功している大学は海外の有名大学にもあるし、かなり危なっかしい面もあったようだが大昔のケンブリッジ大学では、かのケインズが資産運用で活躍していた。

 特に、長らくエール大学の資産運用責任者を務めて、同大の基金運用を成功させたきたデイビッド・スウェンセン氏は、投資の世界では一目置かれる人物である。

 ちなみに、アンソニー・ロビンズが偉大な投資家たちをインタビューした書籍(アンソニー・ロビンズ『世界のエリート投資家は何を考えているのか』鈴木雅子訳、三笠書房)で紹介されている、エール大学財団のポートフォリオは以下のようなものだ(前掲書、p257より)。

米国株式 20%
外国株式 20%
エマージングマーケット 10%
不動産投資信託(REIT) 20%
長期米国債 15%
米国物価連動債(TIPS) 15%

 付け加えると、スウェンセン氏は、株式運用ではインデックスファンドを選んでおり(なんといっても運用手数料が安いから)、運用パフォーマンスのほとんど全てはアセットアロケーションに掛かっていると述べている。