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グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略

ニューグローバリゼーションに
向けた組織構造変革

大西 俊介
【第4回】 2018年1月19日
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グローバル視点での
構造変革による単一企業体へ

 一方、海外展開が遅れた後発組はM&Aを活用して事業展開のスピードを高めようとします。これにより、見た目上は世界市場をスコープに事業が展開されますが、PMI(合併・買収後の事業統合)が機能しないと、至る所に共通機能が偏在し、企業全体の間接費を圧迫します。また地域会社社長の権限が強く、本社主導で企業全体の観点から事業ポートフォリオをマネジメントしていく(これにより選択と集中が可能となる)ことは難しくなります。あるいは非常に時間がかかります。

 最悪なのは複数の構成会社をスルーしないと最終市場に商品やサービスが提供できないケース。これは生産拠点そのものが買収後の構造そのもので放置されているからなのですが、この場合、それぞれの構成会社がマークアップ(利益を上乗せする)しますから、単一企業体の企業と比べてコスト競争力の観点で勝てるはずがありません。ここにPMIの重要性があります。

なぜ日系企業は
PMIを真剣にやらないのか

 欧米企業でもM&Aにより事業展開を行っていく企業は多いのですが、その中には本社組織の中にPMI専門チームを有している企業もあります。

 これに比べて、日本企業は海外の企業買収実行後のPMIが本当に下手だと感じます。そもそもヤル気を感じないのです。時間が解決するのを待つとコメントする経営者もいます。終身雇用制を基調とする日系企業同士の統合のケースは、まだ理解できます。しかしキャリアやポジションによりキャリアをアップスケールさせていこうとする欧米型の価値観の中おいては、タイミングを逸すれば優秀な人材はどんどん出て行きます。

 加えて、「あくまでも投資として買収したのであって、そもそも事業統合は考えてない」というようなコメントも聞きます。これも単に、自分のやってないこと、やれないことを棚に上げて開き直っているようにしか聞こえません。言葉の違いがその大きな障壁にもなっているようにも思います。けれどもこの違いが例えば、日本企業と中国系企業(HUWAEI等)との差に帰結していると思います。

 時に日本企業の企画部門でみられる傾向として、計画をたてればそれでほぼ業務終了、その後の戦略実行は現場に一存、などという風潮があります。もちろん統合する必要がない箇所もありますが、それも含めて、きちんと航海図を描き、本社主導で統合プロセスを推進すべきです。

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大西 俊介
[インフォシスリミテッド 日本代表]

おおにし・しゅんすけ/1986年、一橋大学経済学部卒業後、同年日本電信電話株式会社に入社、株式会社NTTデータ、外資系コンサルティング会社等を経て、2013年6月より、株式会社NTTデータ グローバルソリューションズの代表取締役に就任。通信・ITサービス、製造業界を中心に、海外ビジネス再編、クロスボーダーな経営統合、経営レベルのグローバルプログラムの解決等、グローバル企業や日本企業の経営戦略や多文化・多言語の環境下での経営課題解決について、数多くのコンサルティング・プロジェクトを手掛ける。NTTデータグループの日本におけるSAP事業のコアカンパニーの代表として、事業拡大に貢献した。SAP2017年1月1日、インフォシスリミテッド日本代表に就任。著書に「グローバル競争を勝ち抜くプラットフォーム戦略」(幻冬舎)等がある。

グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略

グローバル化とその揺り戻しともいえる保護主義が錯綜する世界のビジネス環境。そこで生き残る企業の条件を、外資系IT企業日本代表の立場で論考する。

「グローバル競争を勝ち抜く組織人材戦略」

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