2018年、国内の株式市場はすこぶる好調で、年明けの経済団体関連の祝賀パーティでもかなり勢いを感じるコメントが多かったと思います。半面、世界の動きについて不確実性が高まっていくと評する方が多いようでした。よく聞くコメントですが、これは違うのではないかと思います。「不確実性が高まっている」のではなく「複雑化が進んでいる」と解釈すべきでしょう。それが第1回で述べた新たなグローバリゼーションの動きなのです。

 この複雑性を制御するために大きな力を発揮しうるのがテクノロジーであり具体的にはAIやIoT、クラウドになるわけです。

 このような時代において、必要とされる人材の要件について第2回、第3回に分けて考えをまとめました。知識・経験の領域において、社会科学的要素と理数工学系要素のハイブリッドが求められること、加えて、イノベーションを促す発想力を後天的に発言させるために必要な芸術的感性、そして世界を舞台とするリーダーには自ら考え、発信する力とこれを生み出すための多様性の受容力とこれに基づく持続的成長が必要ということでした。

 さて、今回のテーマは組織モデルです。包括的で体系的な教科書的なまとめ方ではなく、これまでの自分の活きた経験を通して、特に、日本企業のグローバルな事業展開を目指すにあたり、組織論的観点からポイントとなる論点に絞ってお話をしたいと思います。それは、連邦制か単一企業体か、という論点です。

連邦制か、単一企業体(グローバルシングルエンティティ)か

 日本の国内のみでビジネスが完結する企業に勤められている方にはピンとこないかもしれません。ただ、この論点は外資系企業やグローバルな事業展開を加速化させようとする日本企業に勤められている方には、かなり共通的な論点ではないかと思います。具体的にいうとどういうことなのか説明します。

 国を跨ってグローバルに事業を展開する企業の組織編成のあり方は、大きくは2つのタイプがあります。それが「連邦制」と「単一企業体」です。