SIMフリースマホの中で
DSDS対応の機種が増加中

 ところが業界関係者の中には「新しい技術や規格を採用すれば、年間数千億円の設備投資も必要ないのではないか」という見方もある。

 例えば、最近のSIMフリースマホでは「DSDS(デュアルSIM、デュアルスタンバイ)」という機能に対応しており、契約情報が記録されているSIMカードと呼ばれるICカードをスマホのなかに2枚、収納できるものが増え始めている。

 DSDS対応スマホであれば、片方のSIMカードは現在、NTTドコモのネットワークを借りて運営している「楽天モバイル」にしつつ、もう片方を楽天が自らキャリアとして参入するサービスのSIMカードを刺しておくという利用も可能だ。

 そうすることで、楽天が自社で構築したエリア内ではキャリアとして利用し、自社エリア外になった時には、NTTドコモから借りているネットワークに接続して、楽天モバイルとして利用することが可能になる。

 こうすることで「自社エリア内に関してデータ通信料金は無料で使い放題。自社エリア外でNTTドコモのネットワーク圏内のところは、格安スマホの楽天モバイルとして課金する」といったサービスも不可能ではない。

 楽天としては、スマホの利用が集中する都心部だけをエリア化すれば済むし、離島や地下街などはNTTドコモのネットワークのお任せでできてしまうのだ。

 もう一つ、注目されている技術が「Wi-Fiコーリング」というものだ。

 これは、携帯電話の電波が届かなくてもWi-Fiに接続できれば、090や080、070といった携帯電話の番号を使って発信、着信ができてしまうという機能だ。iPhoneの場合、すでにiPhone 5c以降の機種で対応済みだが、キャリア側がサービス自体を提供していないため、日本では利用できないのが現状である。

 楽天がキャリアとしてのサービス開始時に、Wi-Fiコーリングを提供するとなると、LTEなどが使えない場所でも、Wi-Fiの電波があれば電話ができるようになる。わざわざ年間数千億円の設備投資をしなくても、それなりにスマホが使えてしまうことも考えられる。

 いずれにしても、正攻法で大手のNTTドコモやau、ソフトバンクに立ち向かっても、楽天には勝ち目がないのは見えている。日本では、かつてツーカーセルラーやイー・モバイル、ウィルコムなど、いくつかの「第4のキャリア」が存在したが、ことごとく消滅していった。そのため、いかに新しい技術やトレンドを取り入れて、既存3社が構築していない方法で攻めていくかが勝負となる。

 楽天が「第4のキャリア」として生き残っていけるかどうかは、三木谷CEOの手腕が問われようとしている。