2.新しい価値
これは、いままでにない使い方や利用法を見つけ出すことです。「葉っぱビジネス」で有名な徳島県の株式会社いろどりは、それまで誰も価値を見出さなかった山の葉っぱに商品価値を見つけ、これを村起こしの一大産業に育て上げました。
つまり、山の葉っぱを料理のツマとして商品化し、四季折々のツマ物を全国に出荷するシステムをつくったのです。都会の日本料理店にとっては、お金を出しても欲しい商品だったわけですが、その価値にそれまで誰も気づかなかったのです。
このように、目の前の状況や事象の見方を変えて、新しい価値を生み出すという発想は、リソースが限られているいまの時代にこそ、最も求められる発想であると感じます。
3.高いビジョン
高いビジョンを掲げることで、その仕事の価値そのものを高めることができます。たとえば、ガード下などでやっている靴磨きの仕事。汚れるし、寒いし、辛そうで、若者は誰もやろうとは思わないでしょう。
しかし、ある一人の若者は、はじめから「足元から日本を変える!」という高いビジョンを持ち、カフェのメニューのようなおしゃれなボードを看板にして、道端でサラリーマンの靴を磨きました。それに目を留めたある経営者の方が、この若者は違う!と感動し、彼のサポートを申し出ました。
彼はいま、ブランド店のひしめく南青山の一等地にカウンターバースタイルの靴磨き店「ブリフト・アッシュ」を構えるまでになりました。その技術は確かで、全国の革靴愛好家から革靴磨きの注文が宅配で届き、また企業単位で靴磨きも受注しています。どんな仕事も、高いビジョンを掲げることで、いまの現状を脱却できる可能性が必ずあるのです。
4.ゼロベース
ものごとを考える際には、どうしても現状からスタートしてしまいます。しかし、発想の転換を求める際には、現状は障害となります。「現状はさておき、そもそも、本当は何が求められているのか?どんなものがあったらいいのか?」という問いかけが大事なのです。
いまは亡き、かのスティーブ・ジョブズは、この思考に極めて長けていました。アップルコンピュータ、iPod、iPhone、iTunesなど、どの製品をとっても、技術的な制約を無視してまでも「人が使いたくなるデザイン、喜ぶサービス」を徹底的に追求しました。
多くのアーティスト、レコード会社の反対を押し切ったiTunesのように、かつてはアルバムCDで買っていた音源を、一曲ずつダウンロードできてしまう仕組みなんて、ゼロベースでなかったら絶対に考えつかないアイデアに思えるのです。