覚えてもらうためには、終始具体語で話す

  合コンでは、好かれようが、嫌われようが、まず相手に自分のことを覚えさせなければならない。合コンで最悪なのは、「そんな人いたっけ」と言われることなのだ。
  面接でも同じだ。最悪なのは、
  「そんな人いたっけ」
  で終わってしまうことだ。
  「でも、個性を押し出しすぎて嫌われるよりはましなのではないですか」
  と思うかもしれない。実際に、ある面接官に聞いた話では、
  「僕は、自分が一番好きなタイプと、一番嫌いなタイプを通すことにしている。好きなタイプばかり採っていると、会社の人材が、同じタイプばかりになってしまうからね」
  と言っていた。とても度量のある会社だと思った。
  その会社は、きっと伸びていくに違いない。

  「面接官に嫌われて落とされた」
  とよく君たちは言うが、その面接官に聞いてみると、
  「そんな人いたっけ」
  というのが実際のところ多い。
  第一印象で嫌いだったけど、あるとき突然、というのは、恋愛でもよくあることだ。
  覚えてもらうためには、終始、具体語で話す。
  具体語とは何か。簡単に言うと、固有名詞と、数字だと思えばいい。固有名詞と数字の入ってない話は、残らない。

  「アルバイトは何してたの」
  と聞かれて、
  「肉体労働してました」
  と言うよりは、
  「地下鉄の建設現場で、ブロックを壊して、ネコ車を押してました」
  と言うほうが印象に残るのだ。
  「映画をいっぱい観ました」
  と言うより、
  「1日3本、オールナイトを合わせて、毎月100本ノルマで、4年間、4000本映画を観ました」
  と言うほうが印象に残るのだ。

嫌われても、覚えてもらったほうがいい。
印象づけるためには、固有名詞や数字といった具体語で話す 
 


*第5回は、第4章「練習で通る人 練習で落ちる人」から一部を掲載しました。(第4章には、このほか、「ウソの面白い話と、本当のツマラナイ話では、どちらがいいのか」「表現力には自信があるので、表現に凝って勝負したいのだが」「僕が学生らしいか、私というべきなのか」「自己紹介と志望動機以外のことを聞かれたらどうすればいいのか」「自己主張が強すぎて嫌われることはないのだろうか」の項目があります)

 

*連載の第6回(1/19)は、「会社訪問で通る人 会社訪問で落ちる人」をお届けします