面接官にどう話せば、自分を印象づけることができるのか

  1000字書いたものの、はじめの850字を切り捨てるという理由がもう1つある。
  君たちの書く文章の癖が、抽象語から始まって、具体語へと進む、ということだ。

  第2章の自己紹介のところで、「協調性」とか「社交的」とかいうコンプレックスを言ってはいけないと書いたが、それらの言葉は、抽象的な言葉であるという意味でも、使ってはいけない言葉なのだ。
  抽象語と具体語とを比べると、具体語しか記憶に残らない。
  抽象語は、頭の中を、スルリと通り抜けてしまうのだ。

  面接官の心に印象づけるには、できるだけ、具体語で語ることが必要なのだ。
  これは、なにも面接にかぎったことではなくて、あらゆるコミュニケーションの基本なのだ。たとえば、合コンを思い浮かべればわかりやすい。面接は、合コンにかなり近いのだ。大勢のなかで、なんとか、自分を印象づけていかなければならないのである。
  1対1ならまだしも、こちらの人数が多いときは、相手が自分のことを覚えてくれていなくては、始まらない。

  合コンで、初対面の女の子に、
  「実は僕、こう見えても、社交性があって、協調性もあってね」
  などと言ったら、きっと変な人だと気持ち悪がられるに違いない。
  なんとか共通の話題がないか探すはずだ。
  どこの出身なのか、血液型は何なのか、どこに住んでるのか、好きな音楽は何か、好きな映画は何か、サークルは何か、など、いずれも具体的な話で、その女の子とのコミュニケーションを図ろうとするし、自分を印象づけようとする。