『朝鮮日報』も、「引っかきまわした揚げ句、矛盾した対策しか打ち出せず」と題する記事で、文政権は、「韓国政府が別個に同じ額の「政府充当金」を用意し、国民感情からくる拒否感を静めようとする代案を打ち出したのだ。だが、合意履行事項の一つである拠出金10億円に関して日本と再び協議するのは、事実上の再交渉という指摘もある」と主張している。また、決して保守系とは言えない『聯合通信』までも、「今回の韓国政府の方針により、日本の拠出金を韓国政府が負担することとなれば、アジア女性基金のときと変わりがなくなる」と述べている。

 最後に、『中央日報』が、読売新聞が実施した世論調査の結果を報道しているのを紹介しよう。それによれば、韓日慰安婦合意について、韓国政府の追加要求に応じないとした安倍政権の方針を「支持する」と答えた日本人が83%に上ったということである。韓国の人々がこれを、「日本人は相変わらず反省がなくけしからん」と受け止めたのか、それとも「韓国がいつまでもゴールポストを動かすのはまずい」と考えたのか。恐らく、今は前者であろう。ただ、反省の気運が出始めたことには注目している。

韓国が客観的に見なければ
日本人の気持ちは一層離れていく

 日韓関係が改善するとすれば、それは韓国が自己の論理に固執せず、日本側の考えにも耳を傾け、より客観的に判断できるようになったときである。恐らく今の文政権ではこれは難しいであろう。

 ちなみに、筆者の書いた「韓国人に生まれなくてよかった」という本は、韓国の保守層から翻訳出版したいという申し入れを5~6件受けている。筆者が優柔不断でまだ発刊されていないが、文政権の本質を扱い、日本人の文政権に対する危惧を率直に扱ったものとして、再び注目が集まったのだろう。筆者も、韓国人に日本人の考えを知ってもらうためには、翻訳出版することが第一歩だと考えており、近々決断しなければならない。

(元在韓国特命全権大使 武藤正敏)