週内に会見予定
4月に正式調印
不正会計による損失隠しが発覚し、財務・会計基盤の立て直しが急務のオリンパス。そのオリンパスが、資本・業務提携先としてソニーを最有力候補として最終調整していることが22日、本誌の取材でわかった。
業務提携の内容は、ソニーが現在0.03%の出資比率を数%まで引き上げ、ビジネスや技術のシナジーを強めるというもの。
「内視鏡で世界シェア70%を握る最大手メーカーのオリンパスと、最先端のイメージセンサー技術をもつソニーの2社が手を組めば、最強の組み合わせになる」(ソニー幹部)というわけだ。
早ければ今週内にも、オリンパス側が記者会見で説明する方針だという。そして、4月に予定されている臨時株主総会で決議をして、正式に協力関係を築くことになる。
昨年末以降オリンパスは、業務提携先として、ソニーのほかに、テルモ、富士フイルム、パナソニック、キヤノンなど複数の企業と幅広く接触し、交渉を続けてきた。とくにデジタル家電など本業が軒並み厳しい電機メーカー各社は、医療事業の強化を模索していた。そこに突然降って湧いたオリンパスの内視鏡事業に色めき立ち、熱の入ったプレゼン合戦を繰り広げていたのだ。
ある交渉関係者によると、「各メーカーともオリンパスとの業務提携のスキームや相乗効果について、プランを伝え終えており、すでに“返答待ち”の状態であった」という。
一方、オリンパス側はどうか。あるオリンパス幹部によれば、「資本が薄弱になったとはいえ、本業は堅調」。顕微鏡事業で官公庁から避けられ、ライバルのニコンなどに受注を奪われることもあったようだが、少なくとも11月までは、内視鏡をはじめとする主力の医療ビジネスに今回の不祥事の影響は見られないという。
そのため、オリンパス内部では「本当に他メーカーの資本注入が必要なのか」という強硬論まで存在し、各メーカーとの提携交渉では年間約1000億円のキャッシュを生み出す内視鏡事業を“買い叩き”や、出資企業の強いコントロール下に置かれることを懸念しているという。
つまり業務提携を実現するには、出資企業側が「私たちは“オオカミ”ではないと、きちんと説明しなくてはいけない」(交渉メーカー幹部)という状況だった。その点で、「提携先を支配下に置きたがる富士フイルムやキヤノンへの抵抗感は強かったようだ」(交渉関係者)といい、緩やかな提携案を提示したソニーが、一歩抜け出したというわけだ。