F社労士が行ったアドバイスは以下の通りである。

 (1)就業規則、特に休職や病気休暇時の内容について確認する。C、D、Eにはすぐに会社指定のメンタルクリニックを受診させ、医師の診断書を提出するように求めること。
 (2)休職制度は法律で決まっているものではなく、会社独自の制度である。従って休職させるかどうかの判断や休職の開始時期といった決定は会社側にある。Cら3人から提出された診断書の内容や状況に基づいて判断すること。
 (3)Bチーム長の処遇については将来的な展望も含めて考えること。
 (4)残業や休日の労働時間が現在どれぐらいなのかを把握し、シフト調整の方法も含めた働き方の改善策を講じること。

診断書提出要請に
3人は面喰らう

 その後、A工場長は就業規則を確認した。すると休職制度は設けられており、病気等で休職届を提出する際には、医師の診断書が必要である旨が記載されていた。内容を確認したA工場長はC、D、Eを呼んで説明した。

「君たちの具合が心配だから、すぐにでも会社指定のメンタルクリニックに行っておいで。その際、医者の診断書をもらって来てね。かかった費用は会社で持つから。診断書を見てから会社の方で休職が必要かどうかかの判断をするよ」

 A工場長の話に、Cは思わず聞き返した。

「えっ?休職届を提出したら、すぐ休職できるんじゃないんですか?」
「違うんだよ。就業規則にも書いてあるんだけど、病気が理由で休職の申し出をする時は、まず会社が指定する病院へ行き診断書をもらい、会社に提出してもらう。それから会社が判断し、休職扱いにするのかどうか決めることになっているんだよ」

 3人は「休職届を出せば簡単に休める」と思っていたので面食らったようだった。その結果、Eは受診を拒み、休職届を取り下げた。CとDはメンタルクリニックを受診したが、診断結果によれば2人とも症状は軽症で、会社に勤務しながらの通院で治療可能とのことだった。

 会社はその結果を踏まえ、CとDに対して当面は残業と休日出勤をさせず経過観察とした。と同時に、寝不足からくるメンタルヘルス不調の原因はC、D、Eが3人とも夜通しでオンラインゲームをしていることが大きな理由だと判明し、各々に生活態度を改めるようアドバイスした。

 Bチーム長の処遇の件については、彼なりに努力していたが、現段階ではチーム長という役割が自分の能力の限界を超えていたようだった。A工場長はBチーム長と面談の上、いったん他のチームに役職なしで異動させることにした。しかし今回は一時的な措置であり、数年後には再びチーム長として復帰してもらうため、リーダー研修を複数回受講させることを伝え、Bチーム長の了解を得たのである。