エサと細かな管理で
芸術品のような和牛肉ができる

 では肝心の輸出はどうか。農林水産省の資料によれば、牛肉の輸出額は、原発事故や円高の影響で苦しんだ2011年から見ると、16年は約4倍に跳ね上がった。また、鶏卵も好調だ。実は、生の鶏卵を安全に食べられるのは、ほぼ「日本産」だけ。こちらも11年から16年の間に約10倍に伸びている。

和牛・養殖魚の輸出急増!秘訣は日本の「エサ」技術にあり

 そして、これら畜産物、養殖の水産物は、日本人の特徴が活きるビジネスでもあるのだ。フィード・ワンの山内孝史社長が話す。

「牛をおいしく太らせるには、品種、飼料のほか、体調を細かく管理するような“匠の技”が必要なんです。これは間違いなく、日本人の得意分野だと思います。実を言うと当社には、2400種類もの配合飼料があるんです(笑)。これは、当社が研究を重ね、同時に畜産農家さんの“芸術品のような肉をつくりたい”という細やかなお求めに応じてきた結果です」

 実は、和牛の遺伝子はとうの昔に流出している。流出に関するルールがないのをいいことに、1990年代に、米国・豪州に和牛を流出させてしまった業者がいたのだ。しかし、単に和牛の遺伝子を持っていればおいしい肉ができるというほど、畜産は簡単な仕事ではない。確かに喜ばしい話ではないが、「流出後も品種改良が進んでいるので大きな脅威ではない」、「細かい管理ができなければ、あの味は実現できない」といった声も多い。ここからわかることは、まさに畜産は「改善」「細やかな技術」が生きる分野、ということだろう。

「当社ができたとき(フィード・ワンは2014年に日本配合飼料と協同飼料が合併して生まれている)“市場の未来は厳しい”という声が大半でした。ところが、飼料の売り上げは好調です。私は将来、日本が畜産・水産大国に変貌していく未来もあると思います。現場に人は足りませんが、たとえば乳牛の分野では“搾乳ロボット”が活躍しています。乳牛がエサを食べに来ると自動で乳を搾るんです。そして当社は、この搾乳ロボット専用の配合飼料も開発しているんですよ」(山内氏)

 日本人が誇る技術と匠の技に「日本食ブーム」が加わって、一大輸出コンテンツが誕生しようとしているのだ。ちなみに畜産飼料部の石井氏いわく「現在はブランド牛に子牛を産ませる農家が高齢化で減っている」らしく、利益が出やすい状況にあるらしい。ブランド牛、育ててみますか?