仮想通貨の法規制
金商法の対象にすべきという議論も
――仮想通貨の業者も金商法の対象にすべきという議論はないのでしょうか。
そういう議論もありますが、そうすると金商法下では、証券会社などの金融商品取引業者を経由して仮想通貨の取引をする必要があります。仮想通貨業社が金融商品取引業者として登録することもできますが、申請条件は厳しく、中小企業にとってはハードルが高いでしょう。
仮想通貨業者が証券会社などを経由して仮想通貨の取引を行うとすると、仮想通貨そのものの取引に加え、仮想通貨の新規発行を通じた資金調達(ICO、Initial Coin Offering)も活発化する可能性があり、市場に資金が集まりやすくなります。
そうなると、仮想通貨は発行高が決まっていますから、資金が集中すればバブルが起こりやすくなってしまいます。だから金商法に仮想通貨を組み込まないことは、バブルを防いできたという側面もあるのです。
米国では、あえて仮想通貨を他の投資に組み込まず、分けることによって資金が流れ込まなくしています。ただ、これだけ仮想通貨が普及してくると、分ける意味がないという判断はあり得ると思いますし、組み込んだ際には実効性のある自己規制ができるのかということがいずれ論点になるかと思います。
マイクロソフト、ヤフーなどを経て2017年からJapan Digital Design CTO。2011年から内閣官房 番号制度推進管理補佐官、2012年から政府CIO補佐官、2017年から内閣府 情報化参与 CIO補佐官に任用され、マイナンバー制度を支える情報システム基盤の構築や政府のIT戦略の推進に携わる。2015年、福岡市 政策アドバイザー(ICT)、一般社団法人OpenIDファウンデーション・ジャパン代表理事に就任。2016年 ISO/TC307 ブロックチェーンと分散台帳技術に係る専門委員会 国内委員会 委員長。