経営 × 人事評価

部下をやる気にさせる、対話による
「コーチ型マネジメント」の極意とは?

上條昌史
2018年3月1日
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日本は世界の中でも上位に位置する
“上司がしゃべりすぎ”の国

 では具体的に、部下を自立に導くコーチングとはどのようなものなのか。桜井氏によれば、コーチングの極意とは、一言でいえば「部下に話をさせ、聞くこと」だという。

 話すというのは能動的な出力作業であり、頭を使わなければできない。話すことで自分の考えが整理され、新しいアイデアが生まれる。つまり言葉にすることではじめて、業務における考えやアイデアが、本当の意味で自分のものになるのだ。

 だが日本の職場の多くでは、上司が部下に話をさせていない、という。「部下に話をさせ、考えさせるのが上司の本来の仕事です。そのため、教える以上に聞くことが重要になります。ところが企業の管理職や経営者の方々は、ふだん自分が主役となって話し、指示することに慣れているため、人の話を遮って自分が話し始める方がとても多い」

 コーチ・エィの「コーチング研究所」では、世界15ヵ国(地域)を対象に、「上司と部下の会話」について調査(2015年)を行った。それによると、日本は中国や香港、タイに次いで「上司の話している時間の方が長い」国となっている。

 さらに「直属の上司との関係がどれくらい良好か」について質問したところ、日本はなんと、上司と部下の関係の良好度が15ヵ国中、最下位だった。

 つまり、日本は世界の中でも“上司がしゃべりすぎ”の国なのである。

 「自分は部下と長く話している、と主張する上司の方は多いのですが、実際は自分がしゃべっているだけで、部下の話を聞いていないのです。部下に発言の機会がなければ、とても対話とは言えません」

 上司の勘違いは、もう一つある。「どうせ部下に聞いても、稚拙な考えしか出て来ない」と思い込んでいることだ。ところが実際は、部下は多彩な意見を持っていて、ただそれを出す機会がなかっただけ、という場合がある。あるいはプレゼンテーションの能力不足から、稚拙な意見になってしまっているだけなのかもしれない。

 「上司の答えより、部下のアイデアの方が優れていることもあります。また、上司と部下が対話することで、もっと有効な答えが見つかる可能性もあります。ただし、優秀な上司は答えを持っている、という概念を変えない限り、上司は、部下の話を聞く、部下に話をさせる、という行動を実践することはできません」

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