『ヒカルの碁』ブームも活かしきれず
内輪だけで盛り上がる業界

 囲碁といえば、かつて漫画『ヒカルの碁』(集英社、連載期間1999~2003年)ブームがあった。当時は囲碁の競技人口が急激に増え、02年には「ヒカルの碁スクール」なる囲碁教室まで登場したが、一過性のブームで終わってしまったのはなぜだろうか。

「『ヒカルの碁』が連載されていた頃、多くの子どもたちが囲碁を習い始めましたが、受け皿(教える側の体制)不足の問題がありました。子どもにしてみればとにかく実戦がやりたかったのに、生徒の急増に対してほとんど準備をしていなかった一部の講師は、大人に対して接するのと同じように講義形式でばかり教えていたという実情もあるようです。結局、それでほとんどの子どもが飽きてしまい、多くのファンを取りこぼしてしまったなんて話も聞いたことがあります」(井桁氏)

 また、囲碁の業界は内輪だけで盛り上がってしまい、世間の認識とは大きな隔たりがあるのも確かだ。

 例えばそれは、日本棋院が発行している業界新聞『週刊碁』(18年1月22日号)が特集した「2017年の10大ニュース」の記事からも見ることができる。

 読者ランキングの1位は井山裕太の七冠独占、3位が囲碁AI『アルファ碁』の進化バージョンの登場についてだった。これらはまだ世間にもある程度認知されている話といっていいだろうが、2位は芝野虎丸七段という若手棋士が囲碁界で大ブレイクしたことについての内容だった。

 もちろん芝野七段が、囲碁界で有名人なのは周知の事実。しかし正直なところ、同氏が大ブレイクしたなどという話は初めて聞いたという人も多いに違いない。こういうところに世間の認識とのズレがあるのではないだろうか。