一方、都会で会社勤めをする地方出身の独身男女も、この時期になると帰省をためらってしまう。なぜなら、親からの「催婚」(結婚の催促)が煩わしく、避けたいからだ。両親をはじめ周りの親戚や友人たちから、やたらと「今年も一人で帰ってきたね!まだ彼氏(彼女)はいないの?早く結婚しなきゃ、もうだめだよ」などと問い詰められるのだ。お年玉やおみやげでお金がかかる上に、そんな圧力をかけられるのではたまったものではない。
 
 近年は、ネットを通じて「彼女」、「彼氏」を雇い、カップルを装い帰省するというビジネスまで誕生するようになった。また、地方出身の一人っ子同士の若夫婦は、毎年どちらの実家に帰るのかで揉めて、夫婦喧嘩になるケースも多い。
 
 一方、「周りの人々が帰省する」ことに恐怖を覚える人もいる。
 
 中国の都会ではほとんどの夫婦が共働きで、普段はお手伝いさんを雇うことが多い。しかし、春節ともなればお手伝いさんもみんな帰省する。その間、すべての家事を全部自分たちでやらなければならない。一方で、日ごろは何から何まですべてスマートフォン決済のネットショッピングも、春節の間は停止状態になる。配達スタッフがみんな田舎に帰るからだ。都会に住む人々にとっては、車の渋滞がなくなる以外に春節にはメリットが見当たらない。逆に、日常生活に不便をきたす時期でもある。
 
 ある上海在住の友人は先日、「今日から毎日外食だ」と宣言していた。奥さんがバリバリのキャリアウーマンなのだが、住み込みのお手伝いさんがその日から3週間帰省することになったのだ。春節中はホテルに移住する家庭も少なくない。仮に国内旅行へ行っても、どこの観光スポットでも人でごった返し、後で「景観どころか、人の頭しか見えなかった」と文句を言って後悔することになる。
 
 このように、それぞれの立場にそれぞれの理由があって、春節という現実から逃げる道を選ぶ中国人は少なくない。