中国では失われつつある
春節の伝統行事が日本で

 また、春節は毎年だいたい1月中旬〜2月の中旬の期間中で、これは、日本ではちょうど冬物バーゲンの時期に当たる。「割安感」を目当てに買い物に来日するOLも多い。

 免税店で電化製品などを買い込んで、手にいっぱい荷物を持った中国旅行者が以前より減ってきたのは、多くの人が免税店のネットで注文し、帰国時の空港で引き取る方法を利用し始めているからだ。また富裕層は、もともと買い物目的で日本にやって来るわけではないので、買い物をするにしても、たいていは伊勢丹や、高島屋を訪れ、館内のカフェなどで休み休み、丸一日かけてゆっくりまとめ買いする。
 
 インフレが進む中国と比べれば、日本は、サービスでも、モノでも「値段の割に値打ちがあり、コストパフォーマンスが良い」というのが中国の旅行者の見方だ。そして、「日本のお店は誠実だ」との評判も定着している。ある友人は、50%オフの表札が付いた洋服の支払いに、レジで店員さんに「ただいま70%オフとなりました」と伝えられ、びっくりして「なんと正直だろう」と大変感動したという。
 
 ちなみに先日、中国のSNSで大きな話題となり、人々の怒りを引き起こした投稿がある。英ロンドン・ヒースロー空港の免税店での話。500ポンドの買い物で40ポンド割引になるクーポンが店内に置かれているのに、客が自ら言わないとそのことを教えてくれない。しかも中国のパスポートを持つ客は、1000ポンド以上買わないと割引対象外になるなど、「不公平」な扱いを受けたというのだ。こんな話と比べると、日本は正直すぎるぐらいだ。

 また近年、春節中は中国の大都会では爆竹が厳しく禁止されている。昔ながらの獅子舞いなど伝統行事も失われつつあり、「年味(お正月の雰囲気、儀式感、風情など)」が年々薄れてきて、春節の楽しみが少ないと思っている人が増えてきている。

 そんななか、日本の横浜や神戸の中華街で行われる獅子舞いなどの春節イベントは、中国の旅行者の目には珍しい光景として映るかもしれない。伝統行事が日本の中華街で存続して、旅行者としての中国人が写真を撮る。そんな光景には、逆説的で不思議な感覚を覚えるものだ。
 
 春節を日本で過ごしたがる中国人が多い理由は、そんなところにもある。