「姿勢」で眠りの深さが変わる

 ここでごく簡単に、あなたが買おうとしているマットレスが正しいかどうかを判別する確実な方法を紹介しよう。

 まずは、あなたが「正しい睡眠ポジション」を取っているかを確認したい。

 前章までは、「就寝前と起床後の準備」と、睡眠サイクルに合わせた「就寝時刻の調整」、昼間にできる「睡眠不足を補う方法」について説明してきた(本原稿は本書第6章からの抜粋)。要するに、睡眠の前後に「何をすべきか」についての話だ。

 ここでは、いよいよ夜にベッドに横になってからの眠り方について考える。

 寝るときの姿勢には3つのタイプがある。誰でも知っているだろうが、「あお向け」「うつぶせ」「横向き」だ。

 もちろん、姿勢はきっちりと3タイプに分けられるわけではなく、眠っている間に手足をあらゆる方向にねじって3種類の境界線上にいたり、登山家が見たら「崖から落ちて宙ぶらりんになっている」のかと思うような不思議な姿勢のこともある。

 だが、基本は「あお向け」「うつぶせ」「横向き」の3つだ。

「あお向け寝」は気道が狭くなる

 かなり多くの人が「あお向け」の姿勢で眠っている。この姿勢は(いい姿勢をさまたげる枕を使っていなければ)背中と首をまっすぐに保てるので整体的なメリットがある。しかし、のどの力がゆるむため、気道がせまくなる。

 英国いびき・睡眠時無呼吸協会によると、「あお向けの姿勢で眠る人は、横向きで眠る人に比べていびきをかきやすく、無呼吸になりやすい」。いびきや無呼吸は眠りをさまたげる原因であり、「睡眠サイクルを損なう」「浅い眠りで一晩すごす」といった可能性につながる。パートナーと寝ている人は、パートナーにも同じ悪影響を与え、関係がぎくしゃくする原因にもなる。

 また、あお向けで眠ると無防備な感じが消えず、脳が警戒態勢を保ったままになる。

「うつぶせ寝」は首と背骨に負担をかける

「うつぶせ寝」はいびき防止にはつながるが、多くの問題が生じる。腹部を下にして眠ると、背骨が不自然にねじれ、枕に顔をつけて眠りでもしない限り、首もねじれてしまう(もちろん枕に顔をつけて眠るなど問題外だ)。腰痛や首の痛み等、あらゆる姿勢の問題は、うつぶせ寝に端を発することが多い

 さらに、終日パソコンの前に座っていたり、頻繁にスマートフォンなどの手持ちのデバイスを見下ろしていることから生じる姿勢の問題の悪化につながり、首と背骨にさらなる悪影響をおよぼす。