岩瀬:小林さんは、超難関といわれるアナウンサー試験でキー局から内定をもらいました。百戦錬磨の複数のプロから「適性が高い」と判断されたわけだから、それはもう小林さんの天職なのかもしれませんね。確かに動機はすこしだけミーハーだけど(笑)、僕はいい話だと思います。「楽しい」とか、「自分はこれ、みんなよりも得意だな」と思える仕事に出会えるのは幸運なことだと思います。人気の職業だから「どうしてもなりたい」という人は多いと思うけど、実際になれる人は限られていますよね。むしろ、肩の力が抜けているくらいのほうがいいような気がします。 小林さん、「こうなりたい」というアナウンサー像はありますか?
1993年生まれ、慶應義塾大学文学部4年生。慶應理工学部体育会サッカー部でGK。2016年2月よりUtah大学での留学。帰国後、HRベンチャーTRYF inc.(ワンキャリア)に参画。フリーのライターとしてForbes、リクルートライフスタイルなどに寄稿した後、株式会社THIRDの立ち上げに関わりアプリUX/UIの設計から広報まで従事。また、社会的な活動として、ハロウィン後の廃棄削減プロジェクトである「Clean by Ourselves PJT」を主催し、NHKやフジテレビなど各種メディアに取り上げ話題となった。2018年4月より新社会人。
仕事の目的は「上司に褒められること」ではない
小林:職人性を追求したアナウンサーになりたいです。
岩瀬:たとえばしゃべりの達人、古舘伊知郎さんとか?
小林:そうですね、古舘さんはすごく尊敬させていただいています。
岩瀬:あ、「尊敬させていただいて」という日本語は変ですよ!(笑)
小林:失礼しました。2重尊敬でした。つい緊張して……。敬語の習得については『入社1年目の教科書』にも書かれていますが、油断するとまだ学生言葉が出てしまいます。
岩瀬:ありがちな指摘ですが、今日はこういう企画なのであえて言わせてもらいました(笑)。小林さんはインターン時代、私の書いた『入社1年目の教科書』を参考にされていたそうですが、どうでした? 役に立ててもらえましたか?
小林:この本がないとインターン生活が成り立たなかったんじゃないかというくらい、活用させてもらいました。バイブルとして常に持ち歩くほどでした。
岩瀬:(ホッとした表情)一番印象に残ったことは何ですか?
小林:「50点でいいから早く出せ」というのは意外でした。アルバイトでしか働く経験がなかった僕にとっては、仕事とは「完璧に仕上げたものが評価されてナンボ」と思っていましたから。
岩瀬:「中途半端な状態のものを上司に出したら怒られそう」とは思いませんでした?
小林:最初は思いました。でも、本にも書かれていますけど、相談という形で50%のものを見せて、フィードバックをもらいながら徐々にアップグレードしていけばいいんですよね。
岩瀬:その通りです。仕事の目的は、上司に褒められることではなくて、いいものを作ること。それなのに、上司に褒められることを目指してしまう人が多いんです。他に意外だったことはあります?